特集ワイド:カノジョは面倒?「草食男子」ここまで 「セックスに無関心、嫌悪」25% 「性体験なくても平気」
毎日新聞 2013年10月10日 東京夕刊
確かに「面倒」という言葉はあちこちで聞いた。冒頭の彼は数カ月前、初めての彼女と1カ月で別れた。理由は「話を合わせるのが面倒くさくなって」。彼によると、男友達は皆「同じような感じ」だ。別の大学院生(24)も約半年付き合った彼女に「前の彼が忘れられない」と言われ、「もういいや」とあっさり別れた。「そもそも自分から女性に告白したことはないです。アタックすることを考えると面倒になっちゃうんです」
著書に「特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ」などがある、カウンセラーで作家の五百田達成(いおたたつなり)さんは「IT(情報技術)の発展で恋愛がはやらなくなった」と分析する。フェイスブックやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)がなかった時代、「深夜の人恋しさ」から男性たちは彼女を欲しがった。「今はSNSで、いつでもたくさんの人とゆるくつながれて、さみしさが埋まればさくっとオフできる。1人の異性と恒常的な関係を結びデートをしなくちゃならない恋愛を、面倒くさく感じるのは当たり前です」
同時に性的な探求心がそがれているのも大きい、と指摘する。「とくに男性の場合、恋愛を始めるきっかけとして『異性の体はどうなっているんだろう?』という純粋な好奇心があったわけです。それもネット上の情報でいくらでも補完できる。生身の恋愛・セックスにとって分が悪い時代です」と解説する。
「彼らにすれば、恋愛は不可欠なものではなく、数ある趣味のひとつなのでしょう」と語るのはコラムニストの堀井憲一郎さん(55)。現在も大学の漫画研究会に参加し、若者と接する。「女性に1回ノーと言われても、少々無理してでも押すという男性が僕が学生だった80年代より少ないと思う。ちょっと強引に迫るとか乱暴なことはしないし、きちんとしたお母さんに育てられて言うことを聞く子に育った。そんな男性が顕著に多くなった印象です」と話す。