汚染水問題にひそむ課題---抜本対策の問題点と国費投入の懸念事項について

2013年10月09日(水) 馬淵 澄夫
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粘土壁については一般的に工場跡地における土壌地下水汚染の防止等で活用されている。豊洲の新市場では純粋な粘土壁ではないが、ソイルセメントを用いている。また、米国ロッキーマウンテン兵器工場(※米軍の化学兵器工場)で使われた実例がある。このように、粘土遮水壁は一般的な、確立された工法であり実績がある。

さらに、凍土壁と異なり、連続した壁という点で信頼性も認められる。実績・信頼性のある工法で第二壁を設置することは、国際社会において対策についての信頼を得る上でも重要だ。

「第二壁」設置は、費用の問題も絡むため、政治が主導でやらなければ前に進まない。27日、ALPSの試運転が再開されたが、22時間でトラブルにより停止した。また、トリチウムを除去できないという問題も残ったままだ。汚染水の浄化装置も当然取り組むべき対策であるが、汚染水の増加を抑える対策を一刻も早く取ることが何よりも重要だ。それは、安倍総理の国際公約ともなっている。

国費投入に際しての原賠支援機構スキームの見直し

「第二壁」設置に代表されるように、今後も事故収束に向けた費用負担のあり方は、対策実施の上で大きな問題となる。政府は今回の凍土壁については予備費を投入するとしてその前提として「技術的難易度が高い」ことを挙げている。

国が前面に立って講じなければならないという対策として今後、事故収束に向けた国費投入のあり方、さらには、東電の株主責任・銀行の貸し手責任との関係、「原子力損害賠償支援機構法」(以下「原賠支援機構法」と称す。原賠支援機構スキーム=救済スキーム)の見直し等、国と東電の役割分担や東電の処理を含めた立法措置の検討を行っていく必要がある。

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