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期限切れまで半年 WinXP

10月10日 18時20分

田辺幹夫記者

パソコンの基本ソフト「ウィンドウズXP」が、半年後の来年4月9日に製品サポートの期限切れを迎えます。
個人や企業など、まだ多くで使われている「XP」、サポートが終了するとソフトの欠陥が修正されなくなり、ウイルスに感染する危険性が大幅に高まります。
サポート終了まで残り半年、対策は進んでいるのでしょうか。
また、私たちはどう対応すればよいのでしょうか。
科学文化部の田辺幹夫記者が解説します。

サポート終了まで半年

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2001年に発売されたパソコンの基本ソフト、マイクロソフト社の「ウィンドウズXP」は、来年4月9日、製品のサポート期間が終了します。
サポートが切れると、どのような危険があるのでしょうか。
パソコンの基本ソフトには、「脆弱性」と呼ばれるセキュリティ上の欠陥が潜んでいます。
この欠陥は、1か月当たりだいたい10件くらい見つかっていて、マイクロソフト社はそのつど、欠陥を修正するプログラムを無償で配っています。
サポートが切れるとこの修正プログラムが配られなくなるため、修正されない欠陥が狙われて、ウイルスに感染したり、不正アクセスを受けたりする可能性が大幅に高くなります。
パソコンのセキュリティーに詳しい情報処理推進機構の加賀谷伸一郎さんは、パソコンを家に例えて、「XPを使い続けることは、ドアが壊れても誰も直してくれない家に住むようなものです。常に外部から侵入される危険にさらされるのです」と説明します。

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進まない対策

マイクロソフト社は、XPのサポート終了をホームページなどで知らせてきました。
しかし、対策は十分進んでいるとは言えません。
東京・新橋の駅前で話を聞いてみると、「サポート打ち切りはきょう、初めて知りました。できれば買い換えたいですが経済的になかなか厳しいです」(20代・男性)とか、「ネットバンキングや買い物など頻繁に利用しますが、パソコンに詳しくないので、具体的に何をすればいいのか誰か教えてくれればいいのですが」(20代・女性)など、サポートが終了することすら知らなかったという人もいました。
また、企業や自治体などにもまだXPは数多く残っています。
実際、マイクロソフト社の調査によりますと、ことし7月の時点で、ウィンドウズXPは企業や自治体で使われているパソコンのおよそ3割に当たる、1050万台で使用されているということです。

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XP残る港区役所では

多くのXPパソコンが残っている自治体の1つ、東京・港区役所を取材しました。
港区役所では庁内にある2400台余りのパソコンのうち、およそ9割の基本ソフトがXPです。

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住民情報の処理など区の業務をつかさどる基幹システムはXP上でしか動かず、XPの使用をやめればこの基幹システムも作り替えなければなりません。
システム開発やパソコンの入れ替えなどにかかる費用は総額8億円ほどと見込まれ、震災への対策などほかに必要なものがあるなか、港区はサポート打ち切りまでに予算を捻出することは難しいと判断し、XPを使い続けることにしました。
しかし、職員が業務をするうえで不便な面もあるといいます。
XPのパソコンはすべて内部のネットワークにしかつないでおらず、新しい基本ソフトを搭載したインターネットを利用できるパソコンは、それぞれの課に1台ほどしかありません。

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ネットでダウンロードしたファイルをXPのパソコンに移す際もUSBメモリーは使えず、ウイルス感染の可能性が低いフロッピーディスクしか使えない規則です。
こうした不便を解消するため、港区では今後、基本ソフトの入れ替えを進める方針ですが、作業の完了は再来年度になる見通しです。
港区・区政情報課の河本良江課長は「大切な区民の情報がインターネットを通して漏えいすることは許されないので、職員の利便性は犠牲にしても安全性を優先させています。今後も区民に安心してもらえるようセキュリティーのチェックを強化していきたい」と話していました。

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私たちがとれる対策は

サポートが終了したあとは、基本ソフトの欠陥そのものは修正されないので、仮にセキュリティー対策ソフトを入れていても、ウイルスに感染したり不正アクセスを受けたりする危険性は残ります。
また、外部からの侵入を防ぐためにネットワークにつながなくても、外部メモリーなどを経由してウイルスに感染する危険性があり、なかなか現実的ではないと、セキュリティー専門家、加賀谷さんは指摘します。
加賀谷さんは「根本的な解決策は、XPを使うのをやめ、サポートが行われている別の基本ソフトに乗り換えること」としたうえで、「対策をするにはどうしてもお金がかかってしまうのが現実です。サポート終了間際になると、パソコンが品薄になるなどスムーズに移行できないケースも考えられるので、今のうちから乗り換えの計画を立ててほしい」と話していました。
サポートの打ち切りまで残り半年。
マイクロソフト社は、これまでホームページなどでサポートの終了を案内してきたということですが、さらに、情報が届きにくい人たちや、パソコンについてそれほど詳しくない人にも、サポートの終了や対策について周知を進めていく努力が必要だと感じました。

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