2013年10月10日13時09分
地図上で首都カンパラを示すローズ・カスティーロさん=北区の立命館大学衣笠キャンパス
◆母国の現状を憂い訴え◆
あす「国際ガールズデー」
10月11日は「国際ガールズデー」。貧困や差別に苦しみ、教育機会を奪われている途上国の少女たちに目を向けようと国連が定めた。この日を特別な思いで迎えるウガンダ人留学生がいる。
―ウガンダ人留学生・ローズさん―
「ウガンダでは、女性が自分の体を守る最低限の知識にすら、地域格差がある。女性教育に対する支援を必要としている」
立命館大学大学院国際関係研究科の博士課程2年生ローズ・カスティーロさん(30)はそう話す。
ウガンダの首都カンパラで、コンピューターの輸入販売業を営む父と厳格な教育方針の母のもと、裕福な家庭で育った。弁護士になりたいと大学では法学を専攻した。しかし、国際問題への関心が高まり、英語で研究できる現在の研究科に留学した。
自国の女子教育の現状を深刻に受け止めたのは来日後だ。カンパラでは多くの女友達が質の高い教育を受けていたが、地方では全く事情が異なった。
都市部では、頻繁に性病やHIV感染に関する啓発広告が放映され、人々の意識も高い。地方では情報が少なく、病気や望まぬ妊娠に苦しむ少女も少なくない。貧しい地方では女子教育への理解が低く、男子が優先される。女子を早く結婚させようとし、多くの少女が学ぶ機会を逸していると訴える。
大学院では、自国の女性の地位と、気候変動との関係を修士課程の研究テーマに選び、ウガンダ国内を計数カ月間調査した。作物の不作が続く村で、裕福な男性から金品を得るため幼い娘を嫁がせる両親がいた。
こうした途上国の女性が気候変動から受ける悪影響を緩和するため、国際社会に何ができるかを探っている。指導する足立研幾(けんき)准教授は「脆弱(ぜいじゃく)な立場にある女性たちの未来を変える可能性を秘めた研究だ」と話す。
ウガンダには、国際機関や先進国からの援助が集まるが、食糧支援や都市住民向けの啓発活動が多く、もっと地方の少女に特化した支援が必要という。
「知識の幅を広げ、やる気を引き出す教師の力が大切。日本などの先進国が教育プログラムをデザインし、世界中の大学生らがボランティアとして現地に赴いてウガンダの女子教育の発展に協力してほしい」
大学院を修了した後は日本や欧州で経験を積み、将来は母国の新しい教育システムづくりに携わるのが夢だ。
◇世界の女性と女子教育の現状◇
国連人口基金(本部・米ニューヨーク)によると、途上国を中心に、婚前性交渉などを理由に身内が女性を殺害する「名誉の殺人」などの因習が今なお残る。学齢期の少女をめぐっては、18歳未満で結婚する「児童婚」の問題が深刻だ。パキスタンで女子教育の権利を訴えたマララ・ユスフザイさんが2012年に銃撃されるなど、女性が教育を受けることを否定する考えも存在する。