正恩氏の“朝令暮改”に冷める総連、韓国議員は使い捨て

2013.10.06

 北朝鮮が今年3月、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に戦時態勢を指示していたことが2日、判明した。ただ、テロ扇動に突き進んだ韓国親北野党議員らのように、朝鮮総連が実際に準備に動いた形跡はない。そこからは挑発から対話へと金正恩第1書記の“朝令暮改”に振り回される組織幹部と、もはや上意下達では動かなくなった組織員らの姿が透けてみえる。

 「会議では重要な決定がなされた」。金第1書記の「戦争突入命令」に基づく指示が示された朝鮮総連中央委の会議について幹部の一人はこう指摘した。

 決定とは、組織に加わらない在日朝鮮人との連携など朝鮮総連の“ソフト路線”を率いた副議長が解任され、北朝鮮工作機関の指示伝達役とされた人物が局長に就任した人事を指す。

 「“裏”を担ってきた工作部門の中枢への進出」と幹部らは理解したというが下部職員らは違った。「戦争時の心構え」を説かれても、「いつもの引き締め」や「資金集めのために緊張感をあおっている」としか受け止めなかったという。

 背景には、一般組織員らの間で金第1書記の3代世襲への反発が大きく、本国や朝鮮総連上層部に対して冷めた見方が広がっているという事情がある。

 これに対し、北朝鮮の挑発攻勢を見て、韓国・統合進歩党議員の李石基被告らは素早い反応をみせた。起訴状などによると、3月の秘密会合で「戦争の雰囲気が熟している」と述べ、米軍情報の収集など戦時に向けた指針を明示。5月の会合では「鉄塔を破壊することが軍事的に非常に重要だ。同時多発的に戦争すれば新たな勝利が…」とインフラ施設を狙った襲撃にも言及した。この際の録音を当局が入手し、立件の決め手となった。

 李被告逮捕後、北朝鮮は「われわれとむやみに結び付け同族対決をあおっている」と南北対話に影響を及ぼさないよう韓国にクギを刺した。日韓外交筋は「開城(ケソン)工業団地再開前の微妙な時期で李被告らをトカゲの尻尾のように切り捨てようとしたのだろう」とみる。

 だが、工団再開後は一転して、「対話を対決に悪用した」と李被告ら「統一愛国人士への弾圧」を激しく非難し、南北離散家族再会事業の延期を通告。南北対話と事件への対応で大きなブレをみせた。正恩政権の方針転換に、より翻弄され使い捨てにされたのは韓国の従北勢力の方だったのかもしれない。(桜井紀雄)

 

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