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一関の「遺産」後世に 長さ119メートル、旧達古袋小校舎
 | 旧達古袋小 |
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 | 校舎の魅力を味わってもらう模型作りの講座=9月29日、旧達古袋小 |
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岩手県一関市の建築士らがことし3月で廃校になった小学校の校舎を保存活用する活動に取り組んでいる。校舎は木造平屋で全国有数という119メートルもの長さがあり、長い廊下を生かした雑巾がけレースや校舎の模型作り、撮影会などアイデアを凝らしたイベントを続々開催している。住民の関心を高め、市内の希少な建物を守る機運を育むことにもつなげたい考えだ。
校舎は一関市萩荘の農村地域にある旧達古袋(たっこたい)小で、1952年に教育に熱心な地域の住民が建設したと伝わる。岩手県建築士会一関支部が3年前、東大教授の指導で校舎の耐震診断をした際に校舎の価値に気付き、支部の一部会員や市民がことし「一関のなかなか遺産を考える会」(代表・阿部真昭同支部長)をつくり、活動を始めた。
校舎正面にアサガオ約200本をカーテン状に植えたり、廊下で雑巾がけレースを開いたりしたほか、9月に地域を学ぶ連続講座「達古袋なかなか大学校」を開講。同29日には学校に住民や家族連れなど約20人が集まり、30分の1の校舎模型を制作した。10月12日に学校周辺の生態を調べる講座、同27日、11月17日には地域の撮影会を開く。
市教委は当初、校舎を一部解体し補修して公民館分館として使う考えだった。現状保存を求める動きがある一方、当初計画を認める住民もいて、市教委は「校舎の扱いは現段階で未定」と言う。考える会の阿部代表は「京都の三十三間堂と同じぐらい長い校舎、それに校庭、背景の山林がつくる景観は美しい。文化財や世界遺産にはならなくても、ほかにない特異性を持つ『なかなか遺産』として後世に残したい」と話す。
2013年10月10日木曜日
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