日本経済新聞

10月10日(木曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

Tech Frontline

ソニー、インディーズゲームを「自家栽培」 独創性に期待
ジャーナリスト 新 清士

(3/4ページ)
2013/10/10 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

来場者でにぎわう東京ゲームショウのインディーズゲームコーナー
画像の拡大

来場者でにぎわう東京ゲームショウのインディーズゲームコーナー

 このゲームを見た日本のある大手ゲーム会社の開発者は「今の自分の会社では、こんなゲームの企画書は絶対に通らない」と驚いていた。別のゲーム関係者は「SCEではこうしたインディーズも受け入れられるのか」とあぜんとしていた。

 TGSの際、報道陣のインタビューに応じたSCEのアンドリュー・ハウス社長は、インディーズへの取り組みに触れ、「ゲーム産業も今後は映画産業のようにハリウッドの超大作映画と、インディーズ映画のように分かれていくだろう」と述べた。SCEはインディーズゲームにより、スマホでは体験できない新しい魅力を提供すると同時に、PS4のゲームソフトの品ぞろえを増強する狙いがあるようだ。

 インディーズゲームの開発者を育成するため、マイクロソフトのライブアーケードと同様に、SCEは販売するソフトの販売価格をコントロールすることで開発者の利益を確保しようとも考えているようだ。

■「やっと開発者育成に本気になったか」

 SCEはインディーズゲームの販売方法として、2つの方法を取ろうとしている。

 まず、SCEと企業が法人契約を結んで発売する既存の家庭用ゲーム機のビジネスモデルだ。この場合、法人ではないインディーズ開発者には敷居が高い。

アクティブゲーミングメディアが運営するパソコン用の国内外のインディーズゲームのネット流通・販売サイト「プレイズム」
画像の拡大

アクティブゲーミングメディアが運営するパソコン用の国内外のインディーズゲームのネット流通・販売サイト「プレイズム」

 SCEはこうした状況を変えようと動いた。9月22日、東京・品川のSCE本社でインディーズゲーム開発者を集めたパーティーが開かれた。この場で、ゲームの翻訳販売などを行うアクティブゲーミングメディア(大阪市)が、SCEと協力し、PS4やPSヴィータ向けにゲームをリリースしたいインディーズ開発者向けに仲介業務に乗り出すと発表したのだ。法人ではないインディーズ開発者でも、一定の手数料を払えば、自社ゲームをPS4など向けに商品化できるようになる。

 アクティブゲーミングメディアの発表の際、パーティー会場は大きな拍手が湧き起こり、「SCEがやっと日本のインディーズ開発者を育てることに本気になったのか」と喜びの声を漏らす関係者もみられた。

 SCEのインディーズゲームのもう一つの販売ルートが、すでに展開している「プレイステーション(PS)モバイル」だ。このサービスは個人のゲーム開発者でも、PSヴィータとソニーのアンドロイド搭載スマホやタブレット向けにゲームを開発・販売できる。登録さえすれば、誰でもパソコンで動作するゲーム開発環境を手に入れられる。この環境のもとで開発したゲームをアップロードし、SCEの審査を通ればネットでの販売が可能になる。アップルのアップストアに近い仕組みだ。

 12年9月にゲーム配信が始まったが、現在のところ、特に日本国内ではかなり苦戦を強いられている。1年間でリリースされたタイトル数はわずか60タイトルにとどまっている。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

ソニー・コンピュータエンタテインメント、マイクロソフト、Xbox360、インディーズゲーム、プレイステーション

【PR】

【PR】

Tech Frontline 一覧

にぎわう「東京ゲームショウ2013」のインディーズゲームコーナー(千葉市美浜区の幕張メッセ)

ソニー、インディーズゲームを「自家栽培」 独創性に期待

 家庭用ゲーム機大手のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、独立系ゲーム開発者が手がけるインディーズゲームの取り込みに動き始めた。スマートフォン(スマホ)向けゲーム市場拡大に伴い、個人や…続き (10/10)

画面を見やすい角度に変えられる富士通の「ESPRIMO WH77/M」。主婦がテーブルに肘をかけながら気軽に電子チラシを閲覧するシーンでも役立つとみている(8日、東京・千代田)

PC業界、なるか起死回生 「虎の子」デスクトップ送り出す

 販売不振が続くパソコンメーカーが、秋冬商戦で起死回生の一手を打とうとしている。富士通とソニーは8日、相次ぎ新製品発表会を開催。両社がそろって目玉の製品として位置付けたのが、超大型の板状パソコン。タッ…続き (10/8)

CEATECのホンダブースで展示された巨大なやかん。HEMSの中核を担う熱電併給(コージェネレーション)システムの原理を分かりやすくアピールした(3日、千葉市の幕張メッセ)

家庭の省エネ「HEMS」 攻める自動車会社、迎える家電大手

 IT(情報技術)で各家庭の省エネを推し進める家庭用エネルギー管理システム(HEMS=ヘムス)が本格普及の兆しを見せている。幕張メッセ(千葉市)で5日まで開催された電機・ITの国際見本市「CEATEC…続き (10/7)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

日経産業新聞 ピックアップ2013年10月10日付

2013年10月10日付

・中東依存に逆戻り 石油危機から40年
・マツダ、走りにこだわり「人馬一体」
・ニッパツ、加熱炉に断熱材で燃料使用量1割減
・東洋紡、羽毛を特殊繊維で代替
・キリン、繁忙期に専用の貨物列車…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について