日本経済新聞

10月10日(木曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

Tech Frontline

ソニー、インディーズゲームを「自家栽培」 独創性に期待
ジャーナリスト 新 清士

(2/4ページ)
2013/10/10 7:00
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 日本のインディーズゲームの多くはパソコン向けに開発されている。ただ、パソコンでゲームを遊ぶユーザー数は欧米市場に比べると少なく、インディーズゲームの出展ブースもここ数年は減少傾向にある。

■ゲームアプリは利益出しにくく

 08年に米アップルのコンテンツ配信サービス「アップストア」が登場後、世界的にインディーズゲーム開発者はスマホ向けの開発に力を入れている。しかし、ゲームアプリは今や14万本を超えるほど競争が激しい市場だ。販売価格も下落圧力が強く、多くのゲームアプリは数百円程度に設定せざるを得ず、利益を出しにくい状況にある。

東京ゲームショウのSCEブース
画像の拡大

東京ゲームショウのSCEブース

 こうしたなか、インディーズゲーム各社の注目を集めたのが米マイクロソフトが家庭用ゲーム機「Xbox360」ユーザー向けに始めたオンサインサービス「ライブアーケード」だ。マイクロソフトが選抜したインディーズゲームを定期的に販売し、1000~2000円と販売価格も管理する。全世界で数十万本の販売に成功したインディーズがいくつもあり、高い実績を生んでいる。

 ただし、同サービスを通じて販売するためにはマイクロソフトの米本社と交渉しなければならず、日本のインディーズゲーム開発者にとってハードルは非常に高かった。

 日本の多くのインディーズ開発者にも、自社独自でゲームをつくってビジネス化したいという潜在的なニーズはあったが、開発しても利益を生みだす方法が事実上なかったといえるだろう。

■インディーズ担当部署を新設

 ところが、今年9月に開かれた「東京ゲームショウ(TGS)」では、初めてインディーズゲームの展示ブースが設けられた。国内外から約40のインディーズ開発者が参加して注目された。その際、インディーズを最も積極的に取り込もうという姿勢をみせたのがSCEだった。

「オクトダッド:ダディスト キャッチ」公式ページ
画像の拡大

「オクトダッド:ダディスト キャッチ」公式ページ

 同社は新型の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」と「プレイステーションヴィータ(Vita)」向けのインディーズゲームを扱う専門部門を今年7月に日本で立ち上げ、インディーズ開発者の開拓やサポート強化に乗り出している。

 TGSのSCEブースで来場者の話題を集めたゲームがある。パズルゲーム「オクトダッド:ダディスト キャッチ」で、PS4向けに発売されるゲームの一つだ。

 ゲームの主人公は背広を着たタコの父親。ユーザーはコントローラーを使ってこのキャラクターを操作し、家の中を歩き回らせる。身体はフニャフニャで、操作性は極端に悪い。ゴール地点まで進もうとするが、体のどこかが家の中の物にぶつかってしまう。そこで体をひっくり返したりしながら進むことになる。

 キャラクターの動きはきちんと物理的な演算処理がされているのだが、画面上ではとても奇妙で、まるで“冗談”のようにしか見えない。もともとゲーム開発業者ではなく、米デポール大学の学生が開発したゲームだが、PS4のインディーズゲームの目玉の一つに位置付けられるほど注目されているのだ。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 4ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

ソニー・コンピュータエンタテインメント、マイクロソフト、Xbox360、インディーズゲーム、プレイステーション

【PR】

【PR】

Tech Frontline 一覧

にぎわう「東京ゲームショウ2013」のインディーズゲームコーナー(千葉市美浜区の幕張メッセ)

ソニー、インディーズゲームを「自家栽培」 独創性に期待

 家庭用ゲーム機大手のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、独立系ゲーム開発者が手がけるインディーズゲームの取り込みに動き始めた。スマートフォン(スマホ)向けゲーム市場拡大に伴い、個人や…続き (10/10)

画面を見やすい角度に変えられる富士通の「ESPRIMO WH77/M」。主婦がテーブルに肘をかけながら気軽に電子チラシを閲覧するシーンでも役立つとみている(8日、東京・千代田)

PC業界、なるか起死回生 「虎の子」デスクトップ送り出す

 販売不振が続くパソコンメーカーが、秋冬商戦で起死回生の一手を打とうとしている。富士通とソニーは8日、相次ぎ新製品発表会を開催。両社がそろって目玉の製品として位置付けたのが、超大型の板状パソコン。タッ…続き (10/8)

CEATECのホンダブースで展示された巨大なやかん。HEMSの中核を担う熱電併給(コージェネレーション)システムの原理を分かりやすくアピールした(3日、千葉市の幕張メッセ)

家庭の省エネ「HEMS」 攻める自動車会社、迎える家電大手

 IT(情報技術)で各家庭の省エネを推し進める家庭用エネルギー管理システム(HEMS=ヘムス)が本格普及の兆しを見せている。幕張メッセ(千葉市)で5日まで開催された電機・ITの国際見本市「CEATEC…続き (10/7)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

日経産業新聞 ピックアップ2013年10月10日付

2013年10月10日付

・中東依存に逆戻り 石油危機から40年
・マツダ、走りにこだわり「人馬一体」
・ニッパツ、加熱炉に断熱材で燃料使用量1割減
・東洋紡、羽毛を特殊繊維で代替
・キリン、繁忙期に専用の貨物列車…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について