風力発電:電力供給力に算入 「補欠」から「正選手」に
毎日新聞 2013年10月09日 20時12分
経済産業省は9日、今冬から風力発電を、電力需給を検証する際の供給力に算入することを決めた。風の状況次第で発電量が安定しないとの理由で、従来は供給力に含めない参考値として「補欠」扱いだったが、安倍政権が風力も含む再生可能エネルギー推進を打ち出したことも踏まえ、電力供給を担う「正選手」に格上げした。
9日開かれた電力需給を検証する有識者委員会で、柏木孝夫委員長(東京工業大学特命教授)が提案し、了承を得た。新たに供給力に算入するのは9電力による昨冬の風力発電実績の1割に当たる10万キロワット程度の見通し。最大電力需要に対して電力会社の供給力にどの程度の余裕があるかを示す「供給予備率」への影響は9電力全体でわずかだが、冬の需給が厳しい北海道電力の予備率は従来の6.9%から7.2%程度に改善する。
電力9社が保有する風力発電所は容量ベースで262.7万キロワットと原発2〜3基分に相当。しかし、実際にどれだけ発電できるかはその時の風量や風向きに左右される。このため、従来は「電力需要が最大の時に、風が吹いている保証はない」(大手電力)などとして、正規の供給力とみなされなかった。しかし、再生可能エネルギーを原発や火力発電に代わる次世代電源に育成することが世界的な課題となる中、政府も「いつまでも補欠扱いしておけない」と判断。供給量を堅めに見積もった上で供給力に加えることにした。【大久保渉】