Updated: Tokyo  2013/10/10 03:54  |  New York  2013/10/09 14:54  |  London  2013/10/09 19:54
 

中曽日銀副総裁:消費増税後も2%への道筋へ、「追加緩和必要ない」

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  10月9日(ブルームバーグ):日本銀行の中曽宏副総裁は9日午後、松江市内で記者会見し、来年4月の消費税率の引き上げ後も「ならしてみれば、経済ないし物価情勢は2%の実現に向けた道筋をたどっていく」とした上で、「今すぐ追加緩和のようなものが必要だとは思っていない」と語った。

中曽副総裁は「量的・質的金融緩和は着実に効果を発揮してきている」と言明。「2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっている」と述べた。

一方で、新興国について「通貨や株価は概して神経質な動きが続いている」と指摘。新興国経済の動向や米国経済の成長ペース、それに財政協議の帰すう、欧州債務問題の展開など、「まだまだ世界経済の不確実性は大きいので、引き続き注視をしていきたい」と述べた。

また、金融政策運営については、内外のリスク要因によって日銀の見通しに変化が生じた場合には、「物価安定目標を実現するために、必要な調整を行っていく」と語った。

オバマ米大統領が明日、連邦準備制度理事会(FRB)次期議長に指名すると報道されたイエレン副議長については「サンフランシスコ連銀の総裁だったころから存じ上げているし、私の前職だった日銀の国際担当理事の時は、G7やG20の代理会合のカウンターパートだった。信頼関係を既に構築できている方だ」と述べた。

その上で「まだ指名を受けているわけではないと認識しているので、金融政策などへの影響については、現時点でコメントするのは控えたい」と語った。

14年度後半から15年度にかけて

中曽副総裁は会見に先立つ講演で、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の前年比について、政策委員会メンバーとして初めて「2014年度後半から15年度にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い」との見方を示した。日銀が13年度から15年度までの見通しを示した4月の展望リポートでは、コアCPI前年比は「見通し期間の後半にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い」としていた。

中曽副総裁は会見でこの点を問われ、経済の先行きに関する見方について「日銀と民間エコノミストとの差はかなり縮んできているが、物価見通しについてはまだかなり差がある」と指摘。「実体経済に対する見方は差が縮まっているのだとすれば、需給ギャップの縮小度合いに対する物価の感応度についての見方に差があると思われる」と述べた。

その上で、民間の見通しのように、需給ギャップの物価に対する感応度が極めて低い金融危機以降の状態を前提にすれば、「なかなか2%は遠いということになる」が、日銀としては「インフレ期待は徐々に上がってきているので、これが物価の需給ギャップの縮小に対する感応度を高めることを通じて、2%の物価上昇率が視野に入ってくるだろう」という見方をとっていると語った。

出雲大社でデフレ脱却祈願も      

中曽副総裁は「インフレ期待は現に上がってきている。もちろん、2%には達しておらず、途上ではあるが、物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているという判断をしていることが、今日の講演などにも表れている」と述べた。

今回訪れた島根県には今年60年に1度の遷宮年を迎えた出雲大社がある。中曽副総裁は質問に答える形で「時間があれば、せっかくの機会なので行ってみたい」と述べた上で、「日本経済の積年の課題であるデフレからの脱却を何としても果たしたい、このチャンスをぜひ生かしたいということは、きっと祈願するだろう」と語った。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/10/09 15:44 JST

 
 
 
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