Updated: Tokyo  2013/10/10 03:53  |  New York  2013/10/09 14:53  |  London  2013/10/09 19:53
 

中曽日銀副総裁:14年度後半から15年度にかけ物価2%に達する可能性

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  10月9日(ブルームバーグ):日本銀行の中曽宏副総裁は9日午前、松江市内で講演し、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の前年比について「2014年度後半から15年度にかけて」、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い、との見方を示した。

日銀が13年度から15年度までの見通しを示した4月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、コアCPIの前年比は「見通し期間の後半にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い」としていた。日銀の政策委員会メンバーが「14年度後半から15年度にかけて」という言い方をしたのは初めて。

中曽副総裁は量的・質的金融緩和の波及経路として「中でも重要」なのは、名目金利から予想インフレ率を差し引いた実質金利への働き掛けだと指摘。「実質金利を低下させるためには、予想インフレ率を引き上げつつ、それとの対比で名目金利の上昇を抑える必要」があるとした上で、「これは微妙なバランスを要する難度の高い政策」ではあるが、「これまでのところ、そうした取り組みは成功している」と述べて自信を示した。

その上で「予想インフレ率が全体として上昇しているとみられる一方で、長期金利は安定しているので、実質金利は低下方向にある」と指摘。コアCPIの前年比は今年半ばにプラスに転じた後、プラス幅を拡大し、8月はプラス0.8%となっているとした上で、先行きについても「経済全体としての需給バランスの改善と予想インフレ率の上昇が続く下で、14年度後半から15年度にかけて、物価安定の目標である2%程度に達する可能性が高い」と述べた。

さらに、「金融政策によって予想インフレ率を引き上げることは、未踏の領域における極めて野心的な取り組みであると認識している」としつつ、「私どもとしては、量的・質的金融緩和の推進による成果を着実に積み重ねていくことにより、デフレからの脱却という積年の課題を是非とも達成したい」と語った。

米財政協議の行方が最大の不確実性

与野党間で鋭い対立が続いている米財政協議については、その行方が「米国経済にとっての目下の最大の不確実性だ」と言明。「このままでは米国債の償還や利払いが止まってしまう。そうなると米国債の格下げやこれに伴うプレミアム(上乗せ金利)の上昇が他国市場に伝播し、長期金利の上昇や株価の下落、為替相場の変動などを通じ世界経済に大きな影響を与える可能性がある」と述べた。

その上で「米国の財政協議については、とにかく、早期に決着をつけることが、わが国を含め世界経済にとって極めて重要だ」と語った。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/10/09 12:02 JST

 
 
 
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