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日向清人のビジネス英語雑記帳:スペースアルク
 

2010年11月 5日

イスラム教、キリスト教、そして仏教

かねがね、イスラム、キリスト教、そして仏教はそれぞれ何が特色なんだろうと思っていました。そこでふと思い立ったのが、それぞれの信者が捧げているお祈りの比較。

まずはイスラム教ですが、日々5回のお祈りの「前文」的なものを見てください。

God is Great アッラーは偉大なり

I bear witness that there is no god except the One God.
(said two times) アッラーのほかに神はなしと
私は証言〔/告白〕する

I bear witness that Muhammad is the messenger of God.
(said two times) ムハンマドはアッラーの使徒であると
私は証言〔/告白〕する

Hurry to the prayer (Rise up for prayer)
(said two times) 礼拝に来たれ

Hurry to success (Rise up for Salvation) 成功のために来たれ/礼拝は眠りよりもよい
(said two times)

God is Great アッラーは偉大なり
[said two times]

There is no god except the One God アッラーのほかに神はなし

出所
http://www.aii-t.org/j/audio/adhan.htm
http://islam.about.com/cs/prayer/f/adhan_english.htm

上の呪文を日に5回の祈祷の度に唱えるとなれば,一種洗脳されることでしょう。神には絶対服従だと。事実、islamのアラビア語の原義はsubmissionと説かれますし、Karen Armstrong というこの分野の権威に言わせると、islam = surrender だそうです。そこに宗教指導者たちが神はアメリカが悪いと言っているなどと刷り込めば、こりゃ自爆テロでも何でもやるだろうなと感じます。


次にクリスチャンなら始終唱える、重要なお祈りです。

Our Father who art in heaven,
hallowed be thy name.
Thy kingdom come.
Thy will be done
on earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread,
and forgive us our trespasses,
as we forgive those who trespass against us,
and lead us not into temptation,
but deliver us from evil.

天にまします我らの父よ
願わくは
み名の尊まれんことを
み国の来たらんことを
み旨の天に行わるる如く地にも行われんことを
我らの日用の糧を今日我らに与え給え
我らが人に許す如く我らの罪を許し給え
我らを試みにひきたまわざれ
我らを惡より救い給え
アーメン

和訳の出所:
http://ja.wikipedia.org/wiki/主の祈り

ここでも神と自分たちという二元構造があり、この点はイスラムと同じです。ちょっと違うのは、前段が救済を信じていますよと、そして、後段が守ってねと言っている点、神にともかく絶対服従と言うよりは、人間サイドの裁量の余地のあることです。

両者を通じて言えるのは、神と人間とは別物という世界観です。

最後に般若心経について。

日本語での意味は、こちら

英訳文は、こちら

何度も唱えてわかるのは、「おのれを含めてすべてを捨てよ」というメッセージで、特に、最後の「ぎゃーてー、ぎゃーてー」うんぬんの部分は、 go, go, go beyond, go thoroughly beyond, and establish yourself in enlightenment なわけで、ちゃんとやれば宇宙と合一し、「悟れる」と説くくだりが印象的です。つまり、神も人間もない、一元的な世界観なわけで、惹かれます。

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Comments

日向先生、こんにちは。
私も世界を推し進めてきた一神教に関してはたいへん関心があり、その種の本はいろいろ読んでいます。
一般的な本で最も参考になったのは、先日お亡くなりになった小室直樹先生の「日本人のための宗教言論」です。目次だけを見てもこれはおもしろそうだ...と思えます。
・神の命令のみに生きる[キリスト教]
・[仏教]は近代科学の先駆けだった
・[イスラム教]は絶好の宗教の手本
・日本に残された[儒教]の負の遺産
※Max Weberの定義によれば儒教も宗教
他にGoogleの村上憲郎会長の「村上式シンプル仕事術」では、グローバルに仕事を動かす4つの知識として、最初にキリスト教の理解、次に仏教の理解を挙げておられます。その内容は本質を突いていて、しかも実際的に「使える」もので、さすがだなあと感嘆いたしました。


[返信]

有益情報ありがとうございます。早速買ってみます。

私も自爆テロには反対なのですが、事実としてキリスト教徒が多数を占めるアメリカで勝利のためなら一般市民を殺すのは問題ないという意見が多いのは、キリスト教が本質的に持つ暴力性とみなしていいのでしょうか?
原爆投下という行為について迷いはなかったと告白する退役将校と自爆の決意を述べるパレスチナの子どもに本質的な差違などあるのでしょうか。
自爆攻撃(テロではありません)はイスラムの専売特許ではありません。日本もしかり、ヒンズー教徒のタミル人、シーク教徒、宗教を問わず洋の東西に見受けられます。
イスラムそのものが日常生活に関する規定が多く、キリスト教とは大きく異なった宗教であるのはもちろんです。しかしながら多数のイスラム教徒がテロに対する攻撃に反対しているという状況を無視して、「呪文」「洗脳」「従属(submission)」などというキーワードで印象づけるのはお祈りを通じた各宗教の比較ではなく、浜地先生の不見識と特定宗教に対する偏見しか感じられなかったのですが、いかがでしょうか?

[返信]

お話が錯綜していてわかりにくいのですが、本文で申しあげたのは、絶対服従を教義とするイスラムの下で、一部指導者が職もなく、将来の希望のない若者に向け、自爆攻撃に参加すれば天国に行ける、遺族の生活保障もすると言われたら、そりゃ従うだろうなということです。

原爆投下機の乗組員がどうのという話は別の話です。

ビジネスマンとして長く中東イスラム圏(石油ビジネス)とアメリカ(情報ビジネス)の「異文化」を
体感してきた者として、この日向さんお取り上げの
テーマは本当に大事だと思います。

このあたりのことについて、名前「浜地道雄」のところをクリックいただければ、
以前書いたものをご覧いただけます。

私自身、玉稿、再度、熟読してます。
私の授業でもぜひ学生に披露します。

感謝

[返信]

ありがとうございます。

イスラム教の“そこに宗教指導者たちが神はアメリカが悪いと言っているなどと刷り込めば、こりゃ自爆テロでも何でもやるだろうなと感じます。” という考え方に反対です。まるでイスラム教徒だからテロを起こしたみたいな言い方ですね。たまたまイスラム教徒だっただけで、テロ以来「イスラム教徒は・・・」みたいな考え方、発言が多いことを残念に思います。

[返信]

そりゃ、わたしも反対ですが、事実としてはパレスチナを中心にそういうことになってしまっているわけで、まことに残念なことです。自爆の決意を述べる子供たちのビデオ、自爆を勧める指導者のビデオ、あるいは論評、ご覧になったかと思いますが。

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