2013年6月 8日
ワイングラスの持ち方 新訂版
今年のはじめ、政権交代に合わせ、以前野田総理の乾杯姿だったものを安倍総理のものと差し替え、「ワイングラスの持ち方2013年版」とさせていただきましたが、このたびのオランド仏大統領の公式訪問で、天皇陛下と乾杯されている図がありますよと親切な読者が知らせてくださったので、その写真をも掲載し、アップデートしました。
たかがワイングラスをどう持つかという話で、そうしなきゃいけないなどと申し上げているわけではありません。ただ妙な勘違いがすっかり定着し、ガラパゴス化している点、(ディスコースすなわち二つ以上のセンテンスやフレーズを英語として通用するように繋げ、纏めるというスキルを知らなくても)語彙と文法さえしっかりやれば英語を話し、書けるようになるという迷信に似ているなあと一種の感慨すら覚えるので、ついついこのエントリーに力を入れてしまいます。
まずは日本国の象徴である天皇陛下、そして本年6月に来日されたフランスのオランド大統領です。Photo Source URL (情報を提供してくださったMOさん、ありがとうございます!)
次いで、わが国の安倍総理、どうでしょう。探してきた写真では、典型的な日本流です。Photo Source URL
亡くなってしまいましたが、北方の偉大な指導者殿は完全な「ステム持ち」です。対照的に右側のオルブルイト米国務長官(当時)は普通にグラスを持っています。ちなみにオルブライトさん、チェコの外交官令嬢。Photo Source URL
次はオバマ大統領。Photo Source URL
オバマ大統領とエリザベス女王。Photo Source URL。
こちらはオバマ大統領夫妻とチリ大統領夫妻。Photo Source URL
先代のブッシュ米大統領もイタリーのベルルスコーニ首相(当時)と並んでブラックタイで正装するような場でしっかりグラスの本体部分をつかんでいます。 Photo Source URL
下の写真は、ちょっと古いものですが、当時のレーガン米大統領とエリザベス女王。東部エスタブリッシュメントにバカにされていた俳優あがりだって、マナーはちゃんとしています。Photo Source URL
左がイタリーのナポリターノ大統領で、右がガーナの大統領。ステムホルダーが主流というわが国はアフリカの流れを汲んでいるのかも。PPhoto Source URL
フランス、イタリーと、ワインの国を挙げた以上、スペイン国王を外すわけに行きません。フアン・カルロス スペイン国王はと見ると・・・(右はタイ国王) Photo Source URL
別に晩餐会だからボウルを持っているというものでもなく、下の写真のとおり、普段のパーティーという場でも普通にボウルを持っています。(左がヘンリー・オブ・ウェールズ王子、右がケンブリッジ公ウィリアム王子とキャサリン妃)Photo Source URL
こちらは Christian Masset 駐日フランス大使。大使の右隣の方はステムを持っていますが、屋内なのに帽子を脱いでいないことにも表れているとおり、ま、民度の違いということでしょう。(以前寄せられたコメントに「仏大使館員に聞いたら」というのがありましたが、ひとくちに「仏大使館」と言っても、ENA出身のMasset 大使のような方から現業官庁の出向職員までと様々で、仏大使館員だからエチケットとプロトコールに通じているというものでもありません)Photo Source URL
立って飲んでいる姿の写真ばかりだと、今度は、座って食事をするときはステムなんだと頑張る方もいらっしゃいます。そこで、ホワイトハウスでのインフォーマルなディナーの様子を一枚。(クリックすると大きく表示されますが、もっと拡大したい場合は、ソースのサイトに行き、写真をクリックするとさらに大きい画像を見て細部を確認することが出来ます)Photo Source URL
おまけの1
ジョージ・クリーニー・・・Photo Source URL
おまけの2 あの、LADY GAGA も・・・Photo Source URL。
おまけの3 そして、あの「ビートルズ」もこのとおり・・・Photo Source URL
★ まとめに代えて
わが国ではワイングラスはステムの所を持つのが正しいというのが通説化していますが、実は、上の一連の写真からわかるとおり、シャンパングラスであれワイングラスであれ、立っていようと座っていようと、ともかく、グラスはカップ状の本体部分を持つのが当たり前です。英語教育のみならず、ワイングラスの持ち方までわが国は「ガラパゴス」。おそらくはワインブームの折り、ソムリエたちのテイスティングを見て食卓でもワイングラスはステムを持つんだと多くの方が思い込んでしまい、さらに、言われたことに疑問を抱かない人々が受け売りしているうちに、とうとう「常識」になってしまったのでしょう。そんなこんなで、パーティーなどでボウルを持って飲んでいたりすると、おせっかいな半可通が「残念なマナー」などとご指導に及んだり例もあるようです。思い込みというのは怖いものです。
(この種の話はどういうものか思い込みの強い方からのコメントが多く、そうですかとしか答えようのないことが多いので、恐縮ですが、今回に限りコメント欄は閉じてあります)
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