……その街には、想像を遥かに超えた、超セレブたちの学園があるという。
私立御星向学院学園――別名、高額院。
入学金、授業料、寄付金を合わせると、軽く億を超えてしまう学び舎。
入学審査は厳格で、選ばれた裕福な子弟のみが通うことが許される特別な学園。
それが高額院である
そんな『高額院』が全学費諸経費免除の特待生を募集するという、ニュースが日本中を駆けめぐる。
御星町の小さなアパートに住み暮らす少年、鳴海和樹は、そうしたニュースなど「別世界の出来事だ」と大して興味も抱かず、平々凡々とした毎日を送っていた。
しかし運命は、彼と、彼に繋がる人々を翻弄する。
高額院の特待生募集――
その総受験者数85000人の中から合格したのは、なんと、たったの1人。
その受験生の名は……
和樹の幼なじみであり、アパートの大家の娘でもある、弓野奏だった。
「どっ、どどどっ、どうしよう和樹ちゃんっ!?」
ただの記念受験だったはずが、まさかの合格に慌てふためく幼なじみの少女。
後日、合格した奏の元に、入学案内書が届く。
そこに書かれていた文字に、和樹と奏は仰天した。
『女子学生は執事の同伴を必須条項とする――』
奏は――真剣な顔で、和樹に両手を合わせた。
「和樹ちゃん、一生のお願いっ、わたしの執事さんになって!」
1216回目の、奏の「一生のお願い」を、聞き入れるべきか入れざるべきか……
悩みに悩んだ末、心細く不安そうな奏のことを考え、和樹は彼女の頼みを聞いてしまう。
セレブの中に放り込まれた庶民タッグと、唐突に庶民を迎えることになったセレブな子弟たちが、すれ違い、交わり、友情を育んでいくセレブリティ庶民ストーリー。
和樹と奏の、奮戦奮闘ドタバタドラマが、今ここに幕を開ける。