「定年退職」と「年金」があるから、サラリーマンは「我慢」できていた

2013/10/09


ツイッターの方で流した意見ですが、こちらでも改めてまとめておきます。


「定年退職」と「年金」があるから、サラリーマンは「我慢」できていた

一概に言うつもりはありませんが、サラリーマンとして働いていると、どうしても「我慢」を強いられることがあります。ぼく自身も、しばしば「やりたくもない仕事(毎日の通勤、電話番、コピー取り、飲み会etc)」を「我慢」しながらやっておりました。

そういう我慢の日々を耐え、半沢直樹のようにいずれ「倍返し」できればいいですが、そんなに世の中は甘くありません。鬱憤はおおっぴらに晴らすことができず、そのまま蓄え込むのが大方のところでしょう。


昨日、「夢の「引退」は過去のものか」と題する記事を見かけました。一流企業に務めた過去がある77歳のおじいちゃんが、スーパーとゴルフクラブでアルバイトしているという話です。

パローム氏は現役時代を目いっぱい働いてきた。住宅ローンを返し、子供たちを大学にやった。そして、大半の米国民と同様、老後のための貯金は十分にできなかった。裕福なベビーブーマーたちですら、定年を迎えた時に貯金は多くの場合、働いていた時の年収の10-20倍にはほど遠い。投資の専門家によれば、これは老後の生活水準を維持するための必要額だ。

夢の「引退」は過去のものか、パートでハンバーガー焼く77歳 – Bloomberg

個人的に、こういう話はまったく他人事ではありません。少なくとも、国民年金しか加入していないフリーランスのぼくに関しては、「老後」なんてものは存在しません。ぼくに関していえば、順当に考えて、体が健康なうちはひたすら働きつづけることになるのでしょう。


さて本題、

1. 「60歳で定年退職できる」という社会
2. 「定年などなく、死ぬまで働かなくてはならい」という社会

の2つでは、キャリアの選択基準は大きく変わってくると思います。


「1.」の場合は、とりあえず60歳、ないし65歳という「ゴール」があるため、多少の理不尽は我慢することができます。「あと10年耐えれば、こんな会社はおさらばだ」と(実際、大企業時代に、そういう主旨の発言を50代の社員が漏らしていたのを聞いたことがあります)。

言い換えれば、「定年退職」「年金」という制度は、サラリーマンに「我慢」を強いることに成功していたのです。定年退職と年金が視野に入っているからこそ、「24時間働けますか?」なんて非人間的なことを「我慢」することができていた、ということです。


しかしながら、ご存知のとおり「老後」なんてものは過去のものになりつつあります。ぼくらが年老いる頃には、「65歳で定年退職して、さぁ年金暮らしだ。そうだ、京都に行こう」なんて豊かな人は、本当にわずかになっているでしょう。実際、20代に関していえば、今の時点でも非正規雇用が3割程度だそうですし。


定年退職は過去のものとなり、年金も十分でなくなってしまったとしたら、ぼくらは「死ぬまで働く」ことになります。

それは、「この仕事は辛いけれど、65歳までなら我慢できる」という逃げ道が塞がれるということです。下手すると、「この仕事は辛いけど、食べていけないから、死ぬまで働かないといけない」という話になってしまいます。


何度でも書きますが、ぼくら若者の大部分は、死ぬまで働くことになります。「この仕事は辛いけれど、65歳までなら我慢できる」と考えているとしたら、それは危険などん詰まりの可能性が高いです。

死ぬまで働くぼくらは、そうではなく、「この仕事なら、まぁ、死ぬまで続けても良いかな」と思えるような仕事を見つける努力をすべきです。

選択をする上では、年収を度外視する必要に駆られることもあるはずです。ぼくの気分としては、「高年収だけどやりたくない仕事」よりも、「年収は低いけれど死ぬまで続けられる仕事」を選ぶ方が「賢い」ような気がしています。だからぼくは、ブロガーなんて厳しい商売を続けているのです。


会社選び、仕事選びのあり方は、これからの時代においては大きく変わっていくことでしょう。

報われない「我慢」を続けるか、思い切って飛び出し、「我慢しないで済む環境」を自分で作り出すか。この帰路に立たされる人は、今後増えていくはずです。ぼくはさっさと飛び出して、後者の道を模索しています。まぁ、ここまではなんとかなっています…。


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