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【サッカー】

【目撃者】脇役に徹する柿谷 いまや主軸級の存在感

2013年10月9日 紙面から

 新参者やボーダーライン上の選手が必ずと言っていいほど、口にする決めぜりふがある。

 「自分の特長をアピールしたい」

 「ゴールに絡んで結果を残したい」

 でも、7月の東アジア杯から参戦したFW柿谷曜一朗(23)はちょっと違う。

 「いま、自分がやらないといけないのは周りとの連係をしっかり築くこと」

 最前線の柿谷はDFラインの前でボールを引き出し、ラストパスを届ける「脇役」に徹した。自己を犠牲にしてでも、周囲との連係に注力した。「自分が(ドリブルで)仕掛けるプレーはいつでもできるから」と、自分の能力を出し切ることを後回しにして、仲間の力量を知り、引き出す役割に没頭した。「遠慮せずに、もっと自分でやっていいんだぞ」。日本サッカー協会の原博実技術委員長が心配して、そう声を掛けたほどだった。

 ただ、認められ、生き残って得る果実は、目先の結果を大きく上回る。

 ノビサド合宿初日。フルオープンだった10人対10人の戦術練習で、乾、清武、長谷部はボールを持つ前に、いつも柿谷を探し、見つけていた。右サイドの清武から送られた高速クロスに対して、柿谷はトップスピードで呼び込み、DFとGKの鼻先で合わせて得点した。そこには柿谷が「いい動きをすれば、必ず(パスが)出てくるのは分かっている」というハイレベルな連係が凝縮していた。

 「曜一朗、うまいなあ。圭佑(本田)や真司(香川)と、もううまく絡んでいて勉強になる」と、4カ月ぶりに代表復帰したハーフナーがうなるのも、うなずける。

 柿谷自身にとっては4、5年ぶりの欧州遠征。「悪いピッチは言い訳にならへん。芝の感じも日本とは違って、それもおもろい」。すでに主軸級の存在感。それを感じ取っているのは、記者1人だけではないはずだ。

(松岡祐司)

 

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