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大槌町、全犠牲者記録へ 町議会「検証が先」異論も

 岩手県大槌町は、東日本大震災で犠牲になった1284人(関連死も含む)全員の生前の様子や被災当時の行動などを取材し、記録する「生きた証(あかし)プロジェクト推進事業」に取り組む。犠牲者の供養と防災対策への反映、震災の風化防止が狙い。自治体としては異例の取り組みだが、いまだ心の傷が癒えない町民もおり、町議会から異論も出ている。
 町が7日、町議会全員協議会で説明した概要によると、事業は犠牲者の遺族や知人に取材し、2015年度までの3年で冊子や書籍にまとめる。復興交付金事業に認められ、町は13年度当初予算に事業費2500万円を計上した。
 住民らによる実行委員会を組織し、犠牲者の遺族や知人を紹介してもらう「全町挙げての取り組み」(町総合政策課)。取材や記録業務は民間に委託し、公募型プロポーザル方式で選定する。
 全員協議会では議員から趣旨に一定の理解が示された一方で、「報道機関の取材に、つらい思いで話したことを、また遺族に強いるのか」「多くの犠牲者が出た原因の検証が先だ」などの意見も相次いだ。
 碇川豊町長は「われわれには犠牲者を忘れず後世に語り継ぐ責務があり、記憶が薄れる前に記録したい。ただ、デリケートな問題でもあり時間をかけて理解を得たい」と述べ、今月に予定していた実行委準備会の開催など、今後の日程を見直す考えを示した。


2013年10月08日火曜日


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