8回 適時打を放つ阪神・日高=横浜スタジアム(撮影・鳥越瑞絵)【拡大】
5月の手術の直後、入院中のことだ。ベッドに横になっていると、見舞いに訪れた球団関係者から、1冊の占いの本を渡された。自分の項を見ると記されていたのは「春先の運気は悪い」-。苦しむ境遇と重なった。今は我慢と自らに言い聞かせ、再び上昇気流が来ることを信じてきた。そして訪れた挽回の舞台。
「俺(試合に)出てないからね。(疲れは)全然ないよ」
雪辱を期した。虎は過去3度のCSで全てファーストステージ敗退。だからこそ「ミスターオクトーバー(10月男)」が必要だ。福留は4月5日の広島戦(マツダ)で延長十二回に決勝の虎初本塁打。同19日のヤクルト戦(甲子園)でも延長十二回、サヨナラ満塁弾を放った。少ない中でも、確実にインパクトを残す勝負強さがある。どんな苦しいシーズンを送っても、短期決戦で一気に取り返せるのが、野球の醍醐味、面白さだ。福留は、それを成しえる可能性を十分秘めている。