✖米・デトロイト市が破産法適用を申請 負債額は180億ドル
▼堤未果さん『㈱貧困大国アメリカ』(岩波新書)の描く世界。企業の倒産は資本の整理・回収と労働者の全員解雇という究極の合理化攻撃ですが、自治体丸ごとの破産申請は、予算の強制削減による公務員大量解雇と全面民営化、社会保障解体の階級戦争そのものです。資本主義・新自由主義の大破綻という問題であり、「破産する前に財政再建・行政改革断行」のキャンペーンを許さず、民営化・外注化・非正規職化阻止、解雇絶対反対、賃下げ阻止、「生きさせろ!」の階級的労働運動の爆発をもって、労働者の回答とすべき時です。
米デトロイト市破綻、日本の自治体も先行き不透明2013/7/19 23:36日経新聞
「デトロイト市のニュースには戦慄が走った。一歩間違うと日本の自治体もこうなる」――。総務省出身で、佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長は職員に緊張感を持って働くよう呼び掛けた。
米国の自治体は企業と同様に破産法の適用を受ける。一方で、日本の自治体は資金ショートは起こりうるが、地方自治法などに破産の規定がないため同様の事態は起こらない。ただ、樋渡市長は「国の延命策で支えられているだけ。国も負債を抱えていつまでも支えられず、破綻すべき自治体は破綻させないと持たない」と語る。
総務省によると、2008年度決算で財政健全化団体だった自治体は21市町村にのぼったが、11年度は青森県大鰐町と大阪府泉佐野市のみに減った。08年度以降で新たに財政健全化団体や財政再生団体に転落した自治体はない。
地方全体の人件費は11年度に23兆4485億円と、08年度から1兆円以上減った。この間に震災復興特別交付税を除いた地方交付税は2兆5328億円増えて17兆9389億円に拡大した。
一時、国と地方の税財政改革(三位一体改革)で地方交付税が減らされ、「自治体破綻」が話題となった。今はそのころの財政難から一息つき、自治体財政の健全化を表す指標は改善が目立っている。武雄市の樋渡市長が「自治体の努力が反映されない国の交付金増額は、モラルハザードを引き起こす」と懸念するほどだ。
ただ人件費カットなど自助努力によるコスト削減の余地が小さくなっているのに加え、地方交付税は13年度予算で6年ぶりに減った。安倍晋三政権は交付税を減額する一方で、経済政策「アベノミクス」による地方税収の増加を見込んでいる。
人口が流出したり、企業集積の乏しかったりする自治体にとっては、税収が伸びる保証はない。米国に比べて、日本では国の支援策が手厚く、すぐに破綻することは考えにくいが、働き盛りの人口が減ることによる税収減など、日本の自治体にとっても対岸の火事とは言えない問題がある。
夕張市の破綻後に成立した地方財政健全化法では、財政健全化団体は財政健全化計画の策定が義務づけられ、夕張市のような財政再生団体は財政運営に総務相の同意が必要になるなど自主性を保てなくなる。
神野直彦東大名誉教授は「国が管理に入る日本の自治体が、企業のように破綻することは考えられない」と強調する。ただ、「これから政府は、成長戦略を進めると同時に、地方間の格差を拡大させない難しい財政運営が求められる」と話している。
米デトロイト市が破産法の適用申請−都市の申請で人口最多 (70万人)2013/07/19 08:53 JST ブルームバーグ
ミシガン州のスナイダー知事(共和)はデトロイト市のオール緊急事態局長に破産法申請の権限を付与する書簡の中で、「この偉大な都市が住民と納税者のために財政の健全性を取り戻す最後の手段として、この必要な措置を承認する」と述べた。
デトロイト市は市内の裁判所に申請し、10億ドル(約1010億円)を上回る資産と負債を明らかにした。
オール局長は5月、同市が流動性不足に陥る可能性があると表明。公務員への年金支給削減など、長期を含む170億ドル(約1兆7100億円)強の債務再編を提案した。
州裁判所の判事は18日、スナイダー知事とオール局長に対し、元市職員への年金支給削減を可能にする措置を暫定的に禁じたが、破産申請手続きは容認した。同市年金基金は17日、破産申請の差し止めを申し立てていた。
米自治体ではこれまでアラバマ州ジェファーソン郡やカリフォルニア州のサンベルナディーノ、ストックトン両市などが破産法9条の適用を申請している。
デトロイト市に関する著作があるスコット・マーテル氏は同市の破産申請前に電子メールで、白人の住宅所有者がデトロイト郊外へ移り始めた1950年代に始まった同市の衰退に米自動車メーカーの長年の人員削減が追い打ちをかけたと指摘。「税基盤が損なわれるとともに、市の基本的な行政サービスも悪化した」と説明した。
原題:Detroit Becomes Biggest U.S. City to File for Bankruptcy(2)(抜粋)
米・デトロイト市が破産法適用を申請 負債額は180億ドル07/19 13:16 FNNニュース
「自動車の街」として知られるアメリカ・ミシガン州デトロイト市が、18日、破産法の適用を裁判所に申請した。
デトロイト市のデイブ・ビン市長は「きょうは、わたしにとってもデトロイト市民の皆さんにとっても、つらい日になってしまいました」と述べた。 デトロイト市は18日、連邦裁判所に対して、連邦破産法9条の適用を申請したと発表した。 負債額は、180億ドル(日本円でおよそ1兆8,000億円)で、これは、アメリカの地方自治体として、過去最大規模の財政破綻となる。 デトロイト市は、最盛期には180万人を超えていた人口が、自動車産業の低迷を背景に、現在はおよそ70万人にまで減少している。 破産法申請の理由として、失業率が2000年に比べて、ほぼ3倍になったことなどを挙げ、行政サービスなど十分な責任が果たせないとしている。 富裕層脱出、GM復活でも税収減 デトロイト破綻2013/7/20 0:31日経新聞
GMは2005〜08年に最終損益が赤字。09年は破綻に伴う変則会計だが、10年から黒字に転換した。一方、デトロイト市の税収は07年会計年度(06年7月〜07年6月)の27億2千万ドルからほぼ一貫して下がり12年度には23億ドルとなった。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、GMは破綻処理時にオバマ政権から税制優遇を受け、巨額の法人税の支払いを免れている。これがデトロイト市の税収減に直結した。しかも、税制優遇などで得た資金を振り向けるのはデトロイトではない。GMの世界販売台数の半分を占めるまでに成長した新興国だ。
目抜き通りのミシガン通りには廃ビルが並ぶ(デトロイト市)
6月末、デトロイトの中心街から西に延びるミシガン通り。車で5分ほど走ると、半ば廃虚と化した住宅街が広がっていた。「昼間でもここで遊んじゃいけないってママに言われるの。危ないんだって」。廃屋の隣に住むという6歳のエミリーちゃんは屈託のない笑顔で話してくれた。
市内には8万近い廃屋が存在するといわれる。かつては店舗やオフィスが軒を連ねた中心街には、落書きだらけのシャッターと割れたガラスが並ぶ。市内の失業率は16%。GMが破綻した当時は30%近かった。市民の3人に1人以上が貧困層に数えられる。
中心地には近代的なゼネラル・モーターズの本社ビルがそびえ立つ(デトロイト市)
市の財政難が響き、夜になっても街灯の4割は消えたまま。かつての自動車不況や治安の悪化もあって、 1950年前後に180万人だった人口は約70万人まで縮小した。深夜営業のバーで会ったデトロイト出身の黒人男性はいう。「車の仕事にありついたやつはみんな郊外に引っ越したよ」
ミシガン通りをもう少し西に進み、デトロイト市を出て隣町のディアボーンに入る。フォード・モーターの本社が見える辺りから、風景がガラリと変わる。米国で飛ぶように売れるピックアップトラックを造るルージュ工場は3組2交代のフル操業だ。周辺には広大な芝生の庭を抱えた一軒家が広がる。
デトロイトの北側に近接するオークランド郡。自動車関連の研究者が多く住み、住民の46%が大卒以上の学位を持つ。この街が次に狙うのが医療機器産業の育成だ。郡で経済担当のアイリーン・スパノス局長は「優れた頭脳が集まる街だからできる取り組みよ」と話す。医療に強いミシガン大学との連携も強みだ。
09年に破綻したGMは米政府の支援を受けて急速に回復したが、デトロイト周辺の自動車工場で働く中流階級が住まいを郊外に求める流れは変わらなかった。市内の自動車関連就業者数はピークの10分の1にまで落ち込んだ。
米経済は回復し、ウォール街は歴史的な株高で潤う。米国は12年時点で金融資産(居住用不動産除く)を100万ドル以上持つ富裕層を343万人抱える。前年比12%増えた。一方、この10年で年収4999ドル以下の貧困層が倍増した。デトロイト市破綻は好調な米経済の裏で進む格差拡大も象徴している。
(デトロイトで、杉本貴司)
米デトロイト市の破産法申請に州地裁が「待った」 州は控訴2013.7.21 00:40産経ニュース
【ワシントン=柿内公輔】米中西部ミシガン州デトロイト市の財政破綻から一夜明けた19日、州地裁は、デトロイト市が連邦破産法第9条の適用を申請したのは州憲法に違反するとして、申請を取り下げるよう命じた。州側は直ちに控訴。米史上最大の自治体破綻は法廷闘争にも発展した。
裁判所の管理下で再建を進めるデトロイト市は、債権者との債務削減協議のほか、退職した職員の年金の削減などの改革を進めるとみられている。
しかし、地元紙デトロイト・ニューズ(電子版)などによると、デトロイト市の年金基金や退職者らが、破産法9条の適用申請阻止を求めて起こしていた訴訟で、ミシガン州の地裁は破産法の適用申請を承認する権限を州知事に認めた州法が州憲法に違反していると判断。
ミシガン州のスナイダー知事に「州憲法を読み、自分が取った行動を考え直すことを望む」と呼びかけた。
これに対し、ミシガン州のシュッテ司法長官は、州地裁の命令を不服として州高裁に控訴し、争う構えを示している。
スナイダー知事も記者会見で、行政サービスを維持するため破産法の適用申請は適切だったと強調し、「デトロイトに安定を取り戻す」として抜本的改革に乗り出す考えを表明した。
カーニー大統領報道官は会見で、「破綻の問題はデトロイト市やミシガン州と債権者の間で解決されるべきだ」としながらも、「協力する」とし、連邦政府も政策助言などの支援を行う方針を明らかにした。
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