三鷹で女子高生刺殺　ブログで「大伯父は倉本聰」

女子高生が刺された現場付近を調べる警視庁の捜査員 Photo By 共同

　８日午後４時５０分ごろ、東京都三鷹市井の頭の住宅前で「若い女性が男に刺された」と１１０番があった。警視庁三鷹署員が女性が路上で血を流して倒れているのを発見。女性は同住宅に住む私立高３年鈴木沙彩さん（さあや、１８）で、刃物で首などを刺され、病院で死亡が確認された。警視庁は現場から逃走した池永チャールストーマス容疑者（２１）を三鷹市内で発見し、殺人未遂容疑で逮捕した。

　警視庁や事件を目撃した近所の住民らによると、鈴木さんは「いや！」「助けて！」などと悲鳴を上げながら自宅の敷地内から路上に飛び出して来た。追いかけて出て来た池永容疑者は、すでに血だらけだった鈴木さんをさらに刺したという。鈴木さんは制服姿だった。

　悲鳴を聞いた近所の住民が道路に出ると、道路に鈴木さんが横向きに倒れていた。住民は鈴木さんの首をタオルで押さえて止血しながら、助けを呼んだ。住民によると救急車で運ばれる際、鈴木さんの目は見開いたまま。顔は土気色で、意識はないようだったという。

　池永容疑者は現場から逃走。頭に紫色のターバンを巻いていたとの目撃情報などを基に警視庁が行方を捜査。約１時間半後、約６００メートル離れた三鷹市内の住宅街で血の付いたズボンをはいた池永容疑者を発見。職務質問に「私がやった」などと話したため、身柄を確保した。

　池永容疑者は刃物は持っておらず、所持品もなかった。逃走中に捨てたとみられるバッグや上着、血のようなものが付着したタオルは、現場から約５００メートルのマンション敷地内で見つかった。

　近くに住む男性（６４）は「４、５日前に現場付近でターバンを巻いた男と女性が２人で歩いているのを見た。事件の当事者かどうかは分からないが、男は身長約１メートル８０で、女性は小柄で幼い印象だった」と話した。警視庁によると、鈴木さんはこの日午前、池永容疑者に付きまとわれていると三鷹署に相談していた。同署がその場で警告のため池永容疑者の携帯電話に３回電話したが、出なかったという。

　鈴木さんはタレント活動もしており、民放のドラマにも出演していた。また鈴木さんはブログで「ひいおじいちゃんは高松次郎って言う結構有名な美術家、大伯父さんは倉本聰、など今考えると超芸術一家」とつづっている。

　現場は京王井の頭線三鷹台駅から南東約３００メートルの静かな住宅街。近くに住む自営業の７０代男性は「首の辺りと白いシャツに血が付いていた。すぐに救急車が来たが、全く動いていなかった」と振り返った。現場付近は学校も多く、中高生らがよく通る場所。事件が発生した時間は下校する生徒も多く、近所の女性（７０）は「一番人通りがあり、にぎやかな時間帯なのに」と不安そうだった。