国際通貨基金(IMF)が世界景気見通し(WEO)の10月のアップデートを発表しました。
IMFは「世界の成長エンジンはシフトしている」と指摘しています。
具体的に新興国市場の成長は鈍化している一方で、多くの先進国では逆に成長が加速しているとしています。
2013年の世界全体のGDP成長率は3%に僅かに届かない程度と見ています。2014年には3.6%に加速すると見ています。
米国は民間部門を中心にしっかりした展開であり、日本経済も好調です。さらに欧州経済が復活していることも良い兆候です。
これと対照的に新興国経済は総じて冴えません。いまのところ据え置かれている、米国の債券買い入れプログラムの縮小が今後再び試みられたら、新興国から資本逃避が起こる可能性もあります。
IMFは「新興国は財政赤字の問題などにすぐに取り組むべきだ」としています。資本逃避が起こっているインドネシア、インド、タイなどの国については、為替が通貨安になるのを放置して、競争力を回復するのが最も早い解決法だとしています。
欧州に関しては銀行統合(バンキング・ユニオン)を進める必要があるとしています。銀行統合とは、まず銀行の監督行政に際して、EUが横断的に指導のルール作りをし、同一の基準を域内の全ての銀行に当てはめることを指します。それが完成した上で、若し域内の銀行のひとつが破綻した場合、他国の預金保険を動員するなどの方法で救済するという、リスクの共有を進めるというわけです。