IMFが世界成長率予想引き下げ、新興国鈍化で13年は3%割れ
[ワシントン 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は8日、最新の世界経済見通しを公表し、2013年の世界経済の成長率予想を前回7月時点の3.1%から、2009年以来の低い伸びとなる2.9%に引き下げた。
2014年についても、前回の3.8%から3.6%に下方修正した。
大半の先進国で成長の加速が見込まれるものの、新興国における成長鈍化を補うには不十分との見解を示した。
成長率見通しの引き下げは昨年初めから6回目。
IMFは、これまで世界の景気回復をけん引してきた新興国をめぐる見通しが、構造的・循環的な理由から幾分悪化していることを指摘した。
とりわけ中国の中期的成長の減速が顕著となることを見込み、2013年の成長率見通しを前回の7.8%から7.6%に、14年を7.7%から7.3にそれぞれ引き下げた。成長率が7.5%を割り込んだとしても、市場では中国政府が刺激策を実施することを見込んでいないと指摘した。
米国の2013年の成長率予想は1.6%とし、前回の1.7%から下方修正した。年初からの歳出強制削減が重しとなると指摘した。
2014年は、債務上限をめぐる与野党の対立など、政治上の問題が阻害要因とならなければ、住宅市場の回復が寄与し、成長は2.6%に加速するとの見通しを示した。ただ、前回の2.7%からは引き下げた。
IMFは「米国が債務上限を直ちに引き上げなければ、選択的デフォルト(債務不履行)に陥り、世界経済に深刻な打撃を与える恐れがある」と警告。「新たな財政の崖問題に加え、世界の成長鈍化の長期化をめぐる懸念が高まっている」とした。
米連邦準備理事会(FRB)の超緩和的な金融政策の解除に伴い金融状況がひっ迫するリスクについてもけん制。IMFの首席エコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は、FRBが資産買い入れプログラム縮小の用意を整える時期に差し掛かっているとしつつも、金融市場が難しい状況に直面する可能性に言及。「FRBが直面している意思伝達をめぐる問題は、新しくかつデリケートだ」とし、「FRBの政策転換に伴い、長期金利が幾分不安定な動きとなることを想定することが妥当だ」と述べた。
日本の成長率については、2013年を2.0%、14年を1.2%と予想した。異次元緩和導入後、日本経済が「目覚しい」成長加速を遂げたものの、来年は消費税引き上げなどの影響から成長率は鈍化するとの見方を示した。
ユーロ圏については、主要国ドイツやフランスの成長率見通しを引き上げたほか、イタリアやスペインが2014年にプラス成長を回復すると予想した。
ユーロ圏全体では、2013年を0.4%のマイナス成長と予想。マイナス幅は前回から縮小した。14年については、1%のプラス成長を見込んだ。
また、ユーロ圏は金融市場の断片化に対処し、銀行の健全性向上や銀行同盟の実現に向けた取り組みを続ける必要があるとの認識をあらためて示した。
IMFは「すべての主要先進国が抱える大規模な債務やユーロ圏における金融市場の断片化はいずれ、新たな危機発生の引き金となる恐れがある」と警告した。
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