アングル:日銀総裁発言が波紋、時間軸強化の思惑浮上
実際、2年という物価目標達成期間について、黒田総裁自身が5日の会見で「もしかすると2年より長いかもしれないし、あるいは2年よりも短いかもしれない」と述べ、2%達成まで長期にわたり異次元緩和を続ける可能性を示した。
BOJウォッチャーの間では、2年という期間よりも2%の達成を優先することが明らかになったと解釈されている。
<総裁は一段の期待インフレ率上昇に自信>
2年・2%の目標をどうやって実現するのか、2年を超えて長期にわたり異次元緩和を継続することが、果たしてどのような結果をもたらすのか、新たな問題点がBOJウォッチャーの中で浮かび上がっている。
黒田総裁は記者会見で「足元で0・5%、1%、1・5%と2%に向けて上昇していく中で、期待も上昇していくと思う」と答え、わずか半年で物価がプラスに転換した現実が人々の期待インフレ率に影響を与えるとみて、実現可能だと主張した。
実際に円安などを通じて物価上昇を実現させることで人々の期待インフレ率を上げ、フィリップス曲線を上方シフトさせることが有効との考えは「物価ゼロの壁を乗り越えれば、(上昇の動きに)弾みがつく」と日銀の事務方でも肯定的に受け止められている。
<民間識者が疑問視する一段の物価上昇>
ただ、市場関係者の中では2%達成が今でも非現実的と見られているだけに、これからの展開は、日銀の想定通りにはいかない可能性が高いとBOJウォッチャーらは見ている。 続く...