政府は12日、有識者らで構成する「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・北岡伸一国際大学長)の初会合を首相官邸で開いた。外交や安全保障を包括する中長期的な指針「国家安全保障戦略」を年内に取りまとめる。17日に再開する集団的自衛権の行使に関する有識者懇の議論と並行し、安倍政権が目指す日米同盟の強化や地域の安定への積極貢献に向けた政策の見直しを急ぐ。
■「積極的平和主義」柱に
「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定にこれまで以上に関与していく」。安倍晋三首相は懇談会の冒頭でこう強調した。
年内に決定する国家安全保障戦略は日本を取り巻く環境変化を踏まえ、自由や民主主義を重視する理念や日米同盟の重視など20~30年先を見据えた目標を明示する。各論でサイバー攻撃への対処やテロ対策などにも言及する見通しだ。
これまで日本にはこうした指針はなかった。1957年にまとめた「国防の基本方針」は国連との協調など4項目を簡単に記すにとどまり、防衛計画の大綱も自衛隊の装備や体制に力点を置いたものになっている。
首相は懇談会で「国益を長期的視点から見定め、安保政策を戦略的かつ体系的にする」とも訴えた。首相は第1次安倍内閣でも安保政策の見直しに意欲を示したが、1年弱で退陣したため実現しなかった。今後、懇談会では政府が年末に向けて作業を進めてきた防衛計画の大綱も議論する。
政府はすでに「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)で、現在は政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を巡る検討を進めている。17日に議論を再開し、行使容認を提言する報告書を年内にも取りまとめる運びだ。
集団的自衛権の有識者懇の座長代理も兼ねる北岡氏は「集団的自衛権の議論も(安保戦略に)インプットするだろう」と語っている。
■ガイドラインに反映
2つの懇談会の議論と並行し、日米両政府は10月3日に予定している外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定に乗り出す。政府は国家安保戦略に基づき新ガイドラインを今後1~2年内に策定する方針だ。
アジア・太平洋地域は中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイルの脅威に直面している。首相の問題意識は、集団的自衛権行使やガイドラインの改定を進め、日本が米国とより緊密に連携できるよう日米の役割分担を見直すことにある。
首相は12日に防衛省で開いた自衛隊高級幹部会同で「日米安保体制の抑止力を高めるためにも、我々はさらなる役割を果たしていかないといけない」と力説した。
ただ連立を組む公明党は安保戦略の大幅な見直しへの慎重論が根強い。12日に開いた党外交・安全保障部会では戦略について「集団的自衛権行使を盛りこむのか」などと懸念する声が噴出した。政策を具体化していくには、与党内の難しい調整が待ち受けている。
北岡伸一、安倍晋三、ミサイル、柳井俊二
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