英語教育:過熱する早期学習

毎日新聞 2013年10月06日 東京朝刊

実際に発音しながら英語を学ぶ子どもたち=川崎市宮前区で
実際に発音しながら英語を学ぶ子どもたち=川崎市宮前区で

 企業での英語公用語化、大学入試での英語力重視−−。そんな社会の流れの中で、早くから子どもに英語を学ばせようという熱が高まっている。いつから始めるのが良いのか、早くから英語を学ぶことに弊害はないのか。実情と課題を探った。

 9月上旬の夕方。川崎市宮前区の子ども向け英語塾「レプトン鷺沼教室」で、学校帰りの小学生十数人が英語を学んでいた。

 テキストは全編英語。CD教材を熱心に聴く子どもたちの間を、3人の講師が手分けして回りながらきめ細かく指導を加えていた。子どもたちの発音を目を閉じて聞いていると、ネーティブと間違えそう。習う単語の中には高校生レベルのものもあった。

 近くに住む小学2年生の神野結衣さん(8)は笑顔で「英語の勉強は楽しい」。小学5年生の次女(11)を教室に通わせている篠沢由美子さんも「これからの時代に英語は必須」と、早い段階での英語教育に期待する。

 ●経済界の意向 

 過熱気味の子どもの英語教育。背景には、国際競争で勝ち残るため、英語力の強化を目指す経済界の意向がある。

 彼らが意識するのが、サムスン電子など「勝ち組」企業を擁する韓国。英語力強化を国策として推進した結果、英語圏への大学進学の際に受験を求められるTOEFL(トフル)の国別平均点(120点満点)は81点(2010年)と、70点の日本を上回る。韓国に負けてはならじと、すでに楽天など複数の日本企業が英語の社内公用語化に踏み切ったほか、多くの大企業が社員の英語力を採用や昇進の判断基準にしている。

 安倍政権も、TOEFLを大学入試などに導入する方針を掲げており、早期の英語教育は、もはや人ごととは言えない状況になりつつあるのは確かだ。

 ●否定的な専門家も

 一方、幼いうちからの外国語学習に否定的な専門家の意見もある。発達言語心理学が専門の内田伸子・お茶の水女子大名誉教授は「母国語の習得が遅れるだけでなく、情報処理能力を劣らせる」と強く批判している。

 実際のところ、英語は何歳ごろから始めるのが理想なのか。レプトン鷺沼教室責任者の中山智雄さん(27)は「特に音声学習は早くから始めるべきだ」と指摘。内田さんは「早くても小学5年生から、本格的な学習は中学入学からで十分。小学校低学年から始めるなら、身体運動と組み合わせてイントネーションを学ぶなど、音声学習を中心に」とアドバイスする。

 単語カードなどを使って詰め込み学習を強要すると、英語嫌いの子を増やしてしまうだけなので控えたい。

 ●教師の力量も課題

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