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みずほの暴力団融資 元頭取も把握
10月8日 19時10分

みずほの暴力団融資 元頭取も把握
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「みずほ銀行」が暴力団員らへの融資を解消していなかった問題で、佐藤康博頭取は、8日、記者会見し、融資の情報が経営トップに上がっていなかったという従来の説明は事実と異なり、当時の西堀利頭取にも報告されていたことを明らかにしました。
佐藤頭取は、みずからも問題を知りうる立場だったとして、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任したことを明らかにしました。

みずほ銀行が暴力団員らへの融資を解消していなかった問題で、佐藤頭取は8日午後、初めて記者会見を開き、「大変なご心配とご迷惑をおかけし、おわび申し上げます」と陳謝しました。
今回の問題で、みずほ銀行は、平成22年12月に問題の融資を把握したあとも、経営トップには情報が上がっていなかったと説明していました。
ところが佐藤頭取は、新しい事実がわかったとして、8日の会見で、これまでの説明を翻し、おととし2月、当時の西堀利頭取らが出席していた取締役会に融資の情報が書かれた資料が提出されていたことや、7日夜、銀行が行った調査に対し、西堀元頭取が、提携ローンの改善策について議論を行った記憶があると答えたことを明らかにしました。
さらに佐藤頭取は、おととし7月から去年1月にかけてトップとして出席した、合わせて3回の会議で、融資についての資料が提出されていたことを明らかにし、「みずからも知りうる立場にあった。しかし、この問題について議論された記憶はなく、問題と認識するまでには至らなかった」と述べました。
そして、原因調査や再発防止策のとりまとめなどに全力で取り組むためとして、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任したことを明らかにしました。
また社内処分については「厳正な処分を行う。グループのトップである点も含めて、私自身にも責任がある」と述べ、3人の弁護士による「特別調査委員会」の調査結果を踏まえ、みずからも含めて処分を検討する考えを示しました。

菅官房長官「極めて遺憾」

菅官房長官は、8日午後の記者会見で、「今までの事実と異なる報告であれば極めて遺憾だ。みずほ銀行が、第三者委員会を含めて事実関係を改めて調査しており、その内容については、金融庁で適切に対応するようにしたい」と述べました。

責任の所在と処分は

8日の記者会見で、みずほ銀行の佐藤頭取は、暴力団員らへの融資についてみずからも知りうる立場にあったうえ、原因の究明などに全力で取り組むためとして、政府の産業競争力会議の民間議員を含む、すべての公職を辞任することを明らかにしました。
佐藤頭取は、「みずからが先頭に立って抜本的な改善策の検討と実施、厳正な処分を行いたい」と述べました。
そのうえで、みずからの処分については、退任などは考えていないとする一方、「私自身にも責任がある」と述べ、銀行の調査のほか、弁護士で作る「特別調査委員会」の調査の状況を見極めて総合的に判断するという認識を示しました。
みずほ銀行は、8日付けで、弁護士で名古屋高等裁判所元長官の中込秀樹氏を委員長とする「特別調査委員会」を設置しました。
今後の調査では、暴力団員らへの融資をなぜ食い止められなかったのかといった、今回の提携ローンの問題点や再発防止策に加えて、担当役員や経営トップが、融資の詳しい内容や件数など、問題の実態をどの時点でどこまで把握し、どういった対応を取ったのかをこと細かに明らかにし、誰のどういった判断で2年以上にわたって融資の解消ができなかったのかを解明できるかどうかが最大の焦点になります。
みずほ銀行は、委員会の調査を踏まえて、今月28日までに関係者の処分を決めるとともに、金融庁に業務改善計画を提出する予定で、1か月足らずの限られた時間のなかで、どこまで踏み込んで調査を進められるかが課題となります。

8回の会議で問題見過ごす

みずほ銀行の佐藤頭取は、8日の記者会見で、反社会的勢力への融資の状況に関する資料が、おととしの2月以降、「みずほ銀行」と、持ち株会社の「みずほフィナンシャルグループ」の取締役会などに「参考資料」などの形で報告されていたことを明らかにしました。
報告が上がっていたのは、「取締役会」のほか、銀行の業務が法令に反していないかなどのチェックを担う「コンプライアンス委員会」の2つです。
このうちみずほ銀行については、▽西堀頭取時代のおととし2月に開かれたコンプライアンス委員会と取締役会、▽塚本隆史頭取時代のおととし7月に開かれたコンプライアンス委員会と取締役会の、合わせて4回、報告が行われていました。
また、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループでは、▽塚本社長時代のおととし6月のコンプライアンス委員会のほか、▽佐藤社長時代のおととし7月の取締役会、おととし12月のコンプライアンス委員会、去年1月の取締役会の、合わせて4回、報告が行われていました。
これら合わせて8回の会議で出席した取締役ら数十人が資料に目を通す立場にありながら問題を見過ごしていたことになり、みずほグループの法令順守体制のあり方が厳しく問われることになります。

迷走したみずほの対応

この問題で、みずほ銀行の対応は大きく迷走しました。
金融庁に事態を放置していたと厳しく指摘されたみずほ銀行。
処分から1週間が過ぎた今月4日、金融庁に促される形で記者会見を行い、「当時の法令順守の担当役員が情報を経営陣に上げていなかった」と説明。
情報は当時の副頭取止まりだったと強調しました。
ところがわずか4日後の8日、問題の発覚から初めて佐藤頭取が会見し、これまでの説明を翻しました。
銀行のその後の調査で、当時の副頭取だけでなく当時の頭取にも情報が報告されていたことや、取締役会やコンプライアンス委員会で、佐藤頭取自身を含む数十人の役員らが今回の問題を知りうる立場にありながら、問題を見過ごしていたことを明らかにしたのです。
みずほ銀行に金融庁検査が入ったのは、去年12月。
金融庁に2年以上も事態を放置していたと厳しくとがめられながら、その後も、退任した役員らへの聞き取りや当時の取締役会の議事録や資料の分析など、徹底した調査を見送っていた銀行の対応には厳しい批判の声が上がっています。

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