百人一首で模擬対戦を披露した越市長(左)とJR西の蔵原潮京都支社長=大津市の近江神宮で
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正月に日本一を決める大会が開かれ、「競技かるたの殿堂」と称される大津市の近江神宮で五日、一般向けの「百人一首かるた入門講座」が始まった。周辺施設と併せて十一月末まで続く、かるたイベントの一環。初日は越直美市長も駆け付けて競技かるたを体験し、会場を盛り上げた。
一連のイベントは、びわ湖大津観光協会やJR西日本が秋の旅行シーズンに合わせて企画。競技かるたを題材にした漫画「ちはやふる」の人気の高まりに着目し、漫画の複製原画を近江神宮内に展示するほか、三井寺などと合同のスタンプラリーもある。
中心イベントとなる入門講座は十一月末まで毎週土曜日に開く。構え方や素早い取り方のコツなどを一回三百円で学べる。講座は予約制で一日三回。各回三十組まで。
初日は近江神宮でイベント開催を告げるテープカットがあった。越市長は「大津をかるたで盛り上げ、多くの人に来ていただきたい」とあいさつ、JR西日本の蔵原潮京都支社長と競技かるたで対戦し、イベントをPRした。
◆江戸初期のかるた100セット集め企画展
扇形をした珍しいかるたに見入る来場者=大津市御陵町で
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現存する中で最古とされる江戸初期のかるたから、現代のかるたまで約百セットを集めた企画展「百人一首かるたの世界」が五日、大津市歴史博物館で始まった。十一月十七日まで。
市内の近江神宮は競技かるた日本一を決める大会を開いており、競技かるたが題材の漫画「ちはやふる」の人気の高まりもあり、かるたの聖地としてあらためて変遷を振り返る狙い。
博物館の木津勝学芸員によると、かるたはポルトガル語でカードの意味。トランプのようなゲームとして日本に伝わった。当初、貴族や大名の間では肉筆等で描かれた豪華なかるたが重用され、嫁入り道具にもなったという。庶民には木版など印刷技術の発達とともに広がった。
会場では、かるたの変遷に沿った多彩な品々が並ぶ。扇の形や将棋の駒の形、縦二・五センチ、横一・八センチの雛(ひな)かるたもある。会場を訪れた大津市の会社員礒谷秀男さん(61)は肉筆のかるたを見ながら「芸術作品のようですね」と驚いていた。木津学芸員は「知っているようで意外と知らないことも多く、奥が深い」と来場を呼び掛けた。入場料は一般千円。
(井上靖史)
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