体内時計機能止めると時差ぼけ解消できた 京大グループ
脳内の体内時計の一部機能を止めて時差ぼけを解消させることに京都大薬学研究科の岡村均教授と山口賀章助教らのグループがマウスで初めて成功した。グループは時差ぼけの仕組みの一端を解明したことで、海外旅行や交代制勤務に伴う睡眠障害の治療に生かせるのではないかとみている。米科学誌サイエンスで4日発表する。
生物は昼夜に対応する約24時間周期の体内時計を各器官、組織に備えている。グループは脳の底部で全身の体内時計に関わる神経細胞間の伝達物質「バソプレシン」に注目した。
バソプレシンの受け手で細胞に情報を伝える受容体の機能を遺伝子操作で失わせたマウスを作製。午前8時から午後8時までを明るく、それ以外を暗くした室内で2週間飼育した後、午前0時から正午までを明るくする環境に切り替えて「時差」を作り出した。バソプレシンが働かないマウスは翌日から新しい環境に順応したが、普通のマウスは適応に10日ほどかかった。
バソプレシンによる神経回路は、目から入る光に左右されずに体内リズムを守るのに役立っているとみられる。その回路が阻害され、明るさの変化に大きく影響されるようになったらしい。
グループは受容体の機能を阻害する化学物質の投与で、マウスの時差ぼけを軽減することにも成功した。岡村教授は「人にもマウスと同様の仕組みがあると想定される。時差ぼけの治療薬の開発につながるのではないか」と話している。
【 2013年10月04日 08時51分 】