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25日のFCCJの総会(GMM)でバイロウが改訂(悪)されたが、それは出席した原告の元会長グループの一人からの情報だった。最悪の事態を免れた嬉しさで肝心のことを伝えるのを忘れていたと言う。
ジョージ・バウムガートナーや渡辺女史、中村元GMの悪行悪事を批判し告発し続けた西法太郎さんは、昨年7月以来14カ月会員資格停止処分になっていたが、昨日の総会でジョージ&ルーシー内閣は西さんの自己弁護を許さない欠席裁判で会員資格剥奪、永久追放を決議してしまったのだ。
それに遡る10日前に西さんはルーシー会長に取材活動と執筆で忙しく出席出来ないからGMMでの決議は避けて欲しい旨を手紙で伝えてあったが一顧だにされなかった。地裁へ告訴している元会長グループ9名には熟慮熟考の上、最善(と思われる)の措置をするが、日本人のアソシエイト会員なんか紙クズ同然の扱いだ。
文芸春秋の10月号にも巻頭でエッセイを載せている三島由紀夫研究家で文芸評論家の西さんのジャーナリストの価値は、何処にも属さないフリーのカメラマンのルーシー会長やスイスTVの駐日特派員のジョージ・バウムガートナー・トレジャラーより余程高い。
西さんに電話で資格剥奪処分を伝えるとメールで即、返答がある。
「腹黒い邪悪で愚昧な害人たちと関わっては身が穢れるだけです。
貴重な人生の時間を無駄にしたくありません。汚したくありません。清浄に保つほうを選びます。これまでのさまざまな御支援ありがとうございました。
いずれにしましても私はジャーナリストとして元気にやっていきます。
今後も引き続き御友誼を賜りたく宜しくお願い致します」とカッコ良いレスポンス。我、邪悪に関与せずだと。
ルノワールの晩年を描いた映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」がある。日本では10月半ばに公開予定だ。
画家と彫刻家、実話とフィクションの違い、また時代が第一次大戦と第二次大戦の差があるが、何れも戦争とドイツ軍を逃れフランスの山奥で芸術活動をしている良く似たシチュエーションだ。
しかし実際はピカソやロダンなどの芸術家と親交のあった彫刻家アリスティド・マイヨールの生涯から着想した物語だと言う。成程彼の彫刻は総て女性の裸像でマイヨールの作品に似ている。特に主人公が制作に取り組んでいる大きな裸像はマイヨールの代表作「地中海」にそっくりだ。それに彼の生地はフランスの南端、スペイン国境の地中海岸に位置するピレネー=オリアンタル県のバニュルス=シュル=メールで映画もここが舞台だ。マイヨール自身は大戦中の1944年に交通事故でなくなっている。
嬉しいのはモデルになる大きな目が蠱惑的な26歳のアイーダ・フォルチ(Aida Folch)が当然のことながら、始終全裸でヘアヌードのポーズをとってくれることだ。スペインで何本かの映画を撮っているが、日本では初お目見え。そしてこの映画でゴヤ賞の主演女優賞にノミネートされる。
スペイン女性と言うのは彫が深く美人で身体全体も着痩せして細身に見えるが、裸になると腰はバンと張り尻も大きい。その上アソコも下腹部を覆うように毛深い。時代考証で脇毛も剃っていない。昔のシルバーナ・マンガーノやソフィア・ローレンを想いだす。イイねえ。
1943年夏、ドイツがフランスを占領している。舞台はスペイン国境近くのフランス南西部の山奥。80歳の彫刻家マーク・クロス(ジャン・ロシュフォール)は年齢と戦争からの閉塞感で創作意欲を失っていた。ある日、妻リー(クラウディア・カルディナーレ)は、買い物の途中、町で腹を空かせて座りこんでいた浮浪者のような娘メルセ(アイーダ・フォルチ)に目を留める。その美しさに惹かれ、夫の仕事のモデルにならないかと話を持ち掛ける。食べものと寝る場所を提供すると言う。メルセはフランコ将軍のファッショ体制の刑務所から脱走して来たばかりのスペイン人だ。マークは一目で気に入った。妻、リーは昔夫のモデルが長かっただけにマークの趣向を知り尽くしている。
メルセをドイツ軍やスペインのスパイから匿いながら森の奥の山小屋のアトリエでメルセの美しい体をスケッチし、彼女に芸術について指南するうちに、クロスは徐々に意欲を取り戻していく。素描をしそれを基にして粘土を粉ねて大きな裸婦像の創作をして行く長い時間の過程で2人は親密な時間を過ごす。やがて作品の完成が見えてくるとともに、2人の時間も終わりが近づいて来る。
単純に創作に打ち込めた訳でも無い。スペイン人のゲリラをメルセは連れて来て匿ってくれとマークに頼みこむ。元々スペインのフランコ独裁政権と戦うゲリラを国境越えて案内するのが彼女の使命だったことが分かる。
近所のガキどもも煩い。この場面はなかなか愉快だが、山の中に女が裸でいて水浴びをしていると、皆が寄って集って見物に来る。マークがライフルを空へ一発ぶっ放すと蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
ドイツ・ナチスの鉄十字勲章を付けた高級将校(ゲッツ・オットー)が従卒の運転するジープで山道を登って来る。メルセはモデルでゲリラは彫刻の石を運ぶ助手だと説明をする。唯一ハラハラする場面だが、将校はミュンヘン大学の美術教授でマークの旧友。分かっていても詮索しないのが良い。戦争はもうじき終わりで自分も長くは生きられないと達観している。
「禁断のつぼみ」(89)や「美しき虜」(98)などゴヤ賞受賞で注目され、93年のアカデミー外国語映画賞受賞作「ベルエポック」で世界に知られるフェルナンド・トルエバ監督が脚本も書き、第二次大戦の閉塞感で生きる希望を失っていた老彫刻家が、妻の連れて来たひとりのスペイン人少女との出会いで創作意欲を取り戻していく姿と三世代離れた彫刻家とモデルの2人の心の交流を描く感動の物語だ。芸術に無知で関心も無かった田舎娘のメルセが彫像の美しさ人の心を潤す芸術の大切さを理解して行く。
主演は「髪結いの亭主」「列車に乗った男」の名優ジャン・ロシュフォール。80歳の彫刻家を演じるが実年齢は83歳。白い口髭とこけた頬、鋭い目など圧倒的な芝居で映画をリードする。
懐かしいのはあのクラウディア・カルディナーレ。「山猫」や「ブーべの恋人」などで僕も大ファンだった。75歳の今もなかなか魅力的な女性だ。夫とモデルのいる山小屋へは登って来ないので出番が少なく物足りないが。
11月より渋谷BUNKAMURAル・シネマで公開される。
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