ようやくOSサミット「世界コンベンション」は終わった。サンタモニカの太陽が燦々と降り注ぐ中、暗い部屋に閉じこもって3日間、ファンドレイジング(寄金集め)とかデータベースとかITによる医療の進歩とか色んな話しを早口の英語で聞かされ、そしてグループ討論などでは喋らされもした。中南米の人たちはヘッドセットでスペイン語の同時通訳を聞いている。
慈善団体には各国とも若い人たちが参加しており賑やかに喋り笑い転げる。僕や保坂先生のような老齢の者には異次元の世界。
予想していた分裂の危機なんてものは微塵も感じられず、ファウンダーのDr. マギー夫妻の求心力は増すばかり。こうなると教祖だね。だから辞めた幹部4人を中心として追随した中間管理職の人たちには一切触れることは無い。まるでそんな大事件が存在しなかったかのようだ。悪口や中傷は飛び交わず大人の世界だ。日本だったら罵詈雑言が雨霰と降るのに。
太平洋を遥か隔てた東京から外国特派員協会(FCCJ)のビッグなニュースが飛び込んできた。金曜(27日)に遅くまで緊急理事会が開かれて理事たちが青い顔をしていたとの噂。「公益法人化」申請が順調に進んでいるとタカを括っていたのが、どうやらダメになりそうだと云うのが推測。我らの仲間、西法太郎さんの会員資格をはく奪し永久追放した「タタリ」じゃないか。
公益法人は寄付の免税などの特権を持つがそれが無くなるとダメージは大きい。そうかと言って社団法人の名も11月を境に使えなくなる。立ち往生もいいとこだ。
その「公益法人化申請」は諸悪の根源、従業員を大量に首切り、東急レストランチェーンへのアウトソーシング、そして想定外の赤字垂れ流し、1600万円を超す弁護士費用が火に油を注ぐ。総てはジョージ・バウムガートナー政権の勇み足と思い違いから始まり、終戦直後に創立された名門FCCJを一気に荒廃に導いた。
想像するに元会長グループの東京地裁への訴訟を含め、4件の裁判を抱えている団体に公益法人の認可は降りまい。今までひた隠しに隠して申請していたのがバレたのかも。ジョージに取って替ったルーシー傀儡政権ではとてもじゃないが対処できまい。蒔いた種は刈り取る他は無い。「雉も鳴かずば撃たれまい」に。
「101回目のプロポーズ」は20年以上も昔の1991年にフジTVで放映された大ヒット・ドラマで、武田鉄矢扮する主人公・星野達郎が浅野温子のチェロ奏者・矢吹薫に不器用ながらひたむきに愛を伝えようと奮闘する姿を描き、最高視聴率36.7パーセントを記録した。この話はアジア各国の人たちの琴線に触れるのですね。
2003年には韓国のチェ・ジウ主演でリメイクされたが、昨年(2012年)中国で更にリメイクされたこの映画は「レッドクリフ」で活躍したリン・チーリンを主演に迎え、フジテレビと中国の制作会社 新麗伝媒が共同でリメイクしたもの。日本・台湾・中国・韓国とアジア人に共通する感情や意識に訴えた訳だ。こんな人間ドラマを共有できるならば尖閣諸島も竹島も解決できるのでは無いかと考えてしまう。
フジテレビが制作費を出し中国主導で制作され、今年2月に中国で公開されるや最終興収30億円を突破。660万人を動員した大ヒット作品だと言う。それが日本へ凱旋公演をする(と言っても新宿の角川シネマと言う小さな小屋だけなんだけど)。
主人公はしがない内装業を営むホアン・ダー(ホアン・ボー)。99回目のお見合いも失敗。そんな折偶然に出会った美しいチェロ奏者のイエ・シュン(リン・チーリン)。偶然な出会いが重なり、身分も社会的ステイタスも住む世界も違う二人は急接近することになる。イエは結婚式当日に婚約者が突如行方不明になったと言う心の傷を抱えている。人を愛することに怯えるイエ。そんなイエを救うため、ある夜、ダンプカーの前に飛び出すダー。不器用だが優しい人柄のホアン・ダーに、美しく誠実なイエ・シュンも惹かれ始める。まるで「美女と野獣」だが。「結婚して欲しい」とダーが伝えた日に、シュンの行方不明だった婚約者シューが現れる。
中国版は少しストーリを捻っている。イエの婚約者、カメラマンのシュー・ジュオ(カオ・イーシャン)のこと。結婚式の当日、交通事故で「行方不明」。日本では婚約者の真壁芳之は交通事故で「死亡」だ。飛行機事故ではあるまいしクルマの事故で行方不明というのが解せないが、やはり後半にシューは忽然と現れる。記憶を失くして放浪していた、と。ここからはイエを巡って三角関係になるから話は複雑だ。
フジの時にホアン・ダーの役を演じた武田鉄矢がカメオ出演するが、中国へわざわざ来た意味も分からない。暑苦しいだけの無駄な顔見世だ。ただテーマ曲のCHAGE and ASKAの歌「SAY YES」が流れるがこれは日本版だけのようだ。だからタイトルの副題〜SAY YES〜も日本のみか。
チェロ奏者のイエ・シュン役リン・チーリンの楚々とした美しさは映画の中心だ。台湾出身で日本でも人気がある。とても39歳には見えない。終盤、コンサートホールに下げられた大型バナーのシュンの姿が風に靡くシーンが良い。中国の国民的俳優と言われるホアン・ボーも同じ39歳。「ロスト・イン・タイランド」や「レジェンド・オブ・フィスト」で日本でも知られている。ハンサムでは無いがコミカルな演技でスターの座を獲得した。
台湾出身のデザイナーだった若手監督で、ヒットメイカ―(と言っても日本未公開作品が多い)の陳正道(レスト・チェン)がツボを心得た演出をしている。
日本はお金を出すだけで、台湾と中国の映画人が作り上げた中国版「101目のプロポーズ」だ。
10月19日より角川シネマ新宿他で公開される。
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