【外信コラム】ソウルからヨボセヨ
ソウルを流れる漢江の川中島に「ヨイド(汝矣島)公園」がある。昔は飛行場があったところで1970年代以降「ヨイド広場」になった。61年5月16日の朴正煕将軍らの“軍事革命”を記念し一時は「5・16広場」ともいわれたが、大統領選挙では各候補者が「100万人集会」を開いて気勢を上げたものだ。
10月1日の「国軍の日」も以前はここで軍事パレードが行われ、筆者は「首都のど真中にあんなだだっ広い広場とは共産国家並みだね」とよく皮肉ったが、90年代末に、いわゆる“民主化時代”で緑の公園に変身した。以後、「国軍の日」の行事はソウル近郊のソウル空港(軍用飛行場)などで行われている。
今年の「国軍の日」は10年ぶりにソウル中心街でも軍事パレードが行われ、ビル街では華やかに紙吹雪が舞った。2月に発足した新政権下で「国の守りを新たに」という意味だろうか。
市街地で市民の歓声が上がるなか戦車や装甲車、大型砲、ミサイルなどを動員しての部隊行進は壮観だ。こんな風景を経験したことがない日本人には実にエキゾチックだが、そういえば東アジアで首都の市街地で軍事パレードをやるのが韓国と北朝鮮と中国である。その3国が日本に対し「軍国主義復活」などと非難しているのだから、お笑いである。(黒田勝弘)