【丹治吉順】8月31日は、バーチャルアイドル初音ミクの「誕生日」。2007年のこの日に最初の製品が発売され、ツイッターやネット掲示板には例年、「誕生日おめでとう」の投稿が殺到する。誕生日に先立つ30日、横浜市の横浜アリーナではライブイベント「マジカルミライ」があり、昼夜2回の公演に計1万4000人が詰めかけた。観客たちはサイリウム(ケミカルライト)を振り、プレ誕生日を祝った。初音ミクのファン層は最近、小中学生に大きく広がっているが、今回のライブにはそうした若い層が大挙して押し寄せた。
初音ミク特集昼の部は18歳以下と引率者に限定。広い会場は十代の聴衆の歓声で埋まった。
特に目立ったのが女性客の多さ。東京都の大学生・海道渚さん(18)は中学2年以来のファン。ミクのライブを会場で見るのは2回目だが、「今回は新曲をたくさん歌ってくれてうれしい。生バンドの迫力もすごかった」と話す。初音ミクファミリーの中では鏡音リンがお気に入りで、公演の間ずっと「リンちゃーん」と声援を送っていた。
同級生4人と連れだって来た神奈川県綾瀬市の中学2年生の女の子たちは「初音ミクはクラス中が知っているし、校内放送でも曲がよくかかる」と、この世代でのミク人気を語る。ミクのライブは初めてで、「見ていると生きているみたい。キャラクターも本当にかわいかった」と満足そうに話した。
小学生のファンも多く見かけた。東京都文京区から来た小学6年の女の子3人連れは「初音ミクの曲は歌詞がすごくいい」という。一人は好きな曲をその場で歌ってくれた。「神様、この歌が聞こえるかい、あなたが望んでいなくても僕は笑っていたいんです。泣きたいときは泣きたいんです」という内容で、巡音(めぐりね)ルカの歌う「No Logic」と思われる。「この曲を聴いて、ああ、人生のんびり生きていいんだとほっとしました」という。引率してきた自営業のお母さんは「こんなバーチャルなもの、誰が好きになるんだろうと思っていたけれど、子どもたちには響くんですね」と不思議そうな顔をしていた。
初音ミクは、ヤマハの音声合成ソフト「ボーカロイド」を基に作られた。パソコンに歌詞とメロディーを入力すると、その通りに歌ってくれる。07年のリリース以来、アマチュアの音楽家や学生らが自作の曲をニコニコ動画などに投稿してきた。若者の喜怒哀楽を生々しい言葉で歌った曲や、ミュージカルのようなストーリー性豊かな曲など、既存の商業曲にない自由な発想の曲が数多く発表され、まず20〜30代を中心に注目を集めた。今や、それが10代にまで拡大している。人気のある曲をベースにした小説も多く出版され「ボカロ(ボーカロイドの略称)小説」と呼ばれるジャンルも生まれた。
初音ミクのライブは、それらの楽曲を基に作られたセガのゲーム「プロジェクトDIVA」シリーズを基本に、ステージ向けに動きを新しく作り上げた。幅12メートルの広いステージをたっぷり使い、少年キャラクターの鏡音レンがバック転やブレークダンスを繰り広げると、あちこちから歓声が上がった。舞台中央でミクがギターを弾きながら歌うそのすぐ横に、人間のギタリスト2人が迫り、「3本」のギターで共演するなど、リアルとバーチャルの境界を越える演出に、会場は沸き続けた。
クリエーティブプロデューサーの内海洋さんによれば、コンピューター・グラフィックス(CG)によるモーションを作り、リハーサルでバンドの演奏を聴いて、音作りへの希望を話した後、さらにその音に合わせたモーションを改めて作り直す、という作業を続けた。「指を指したときに、目がどのように動くかにまで注意した。実際の会場ではそこまで見えないとは思うが、そこで手を抜くと絶対に見破られる」と、こだわりを話す。
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