ヘイトの現場から:/中 京都朝鮮学校への差別街宣
毎日新聞 2013年06月26日 大阪夕刊
一方、在特会側の代理人弁護士は、同校前での演説を「保護されるべき公正な論評の一つ」と主張した。「授業を妨害し子どもをおびえさせた犯罪性に疑いの余地はない」などとしたものの、「客観的には愚劣、侮辱的であっても政治的意見を述べる自由は誰にでも保護されるべきだ」と、演説は憲法21条が保障する「表現の自由」の範囲にあると強調した。
裁判は今月13日に結審し、9月26日に判決が言い渡される。
東京造形大の前田朗教授(刑事人権論)は「憲法の教科書では、表現の自由は優越的地位にあるとする説が紹介されているが、差別表現の自由、他者の人格権を侵害する表現の自由はないはずだ」と指摘し、「具体的被害が生じており、『ヘイトスピーチ』ではなく『ヘイトクライム』(憎悪犯罪)と呼ぶべきだ」と提起している。
母親会会長だった朴さんは言う。「『表現の自由』を盾に取り、何を言っても許される状況はすごく怖い」
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■ことば
◇京都朝鮮第一初級学校授業妨害事件
在特会メンバーら4人が威力業務妨害と侮辱罪などで起訴され、京都地裁で11年4月に有罪判決を受け、その後、全員の有罪が確定。一方、学校長(当時)も許可なく公園にサッカーゴールなどを設置したとして、都市公園法違反罪で略式起訴され10年9月に罰金10万円の略式命令を受けた。