食物アレルギー:親と念書「後遺症責任なし」山形の小学校
毎日新聞 2013年10月07日 20時45分
山形市の市立小学校が昨年3月、食物アレルギーのある児童1人について、学校で発作が起きて後遺症が出ても学校は責任を負わないとの念書を、校長と保護者の間で交わしていたことが分かった。市教委は昨年4月、不適切だとして学校を指導した。市教委によると、校長は「アレルギー対応の経験がなく、発作時の対応を保護者と相談するうちに不安になった」と説明しているという。
山形市教委によると、アレルギーのある児童の保護者が昨年3月、発作時の対応を学校に相談し、保護者への連絡方法や発作薬服用などを話し合った。その際、教職員の対応によって後遺症が出ても学校に責任を問わないことや、アレルギーのショック症状を緩和する自己注射薬「エピペン」を教職員ではなく、保護者が打つことなどを記した念書を交わしたという。
文部科学省のガイドラインは、緊急時は児童・生徒に代わって教職員がエピペン注射をするなどの対応策を示している。
市教委の吉田勝彦・学校教育課長は「アレルギーに対する知識や経験が少ないために起きてしまった事態。研修などを通じて、教職員がしっかりと対応できるようにしていきたい」と話した。
山形県教委によると、児童・生徒のアレルギーなどについては、保護者と学校側が十分に相談して発作時の対応を確認する「同意書」を交わすことはあるが、学校側の責任を回避するための「念書」は例がないという。県教委は同様の事例がないか7日、県内市町村教委に聞き取り調査を始めた。【前田洋平】