お問い合わせ先
国際事業部人物交流課
外国人著名研究者招へい担当
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Oliver E. Williamson
滞在中の日程
受入実施の状況とその成果 実質8日間の滞在中、シンポジウム・講演会を2大学及び国際機関の計3カ所において開催したほか、多面的な研究指導及び交流が行われた。ウイリアムソン教授は経営学と経済学の融合と分析手法の革新を実現したのみならず、関係的契約の効率性分析を通じて法学と経済学の境界領域に大きな影響を及ぼし、また社会学・組織論や政治学と複合した分析を行うなど、社会科学における学際研究の幅広さにおいて他に類をみない知の巨人である。この学際性を反映して、それぞれの講演会等には非常に広い範囲の研究分野から参加があり、また政策形成や経営の実務担当者の参加までみられるような希有な交流機会となった。 (1)学習院大学におけるシンポジウム "Defining the Agenda for the Next Decade of Research onEconomic Governance" ウイリアムソン教授が2009年に受賞したノーベル経済学賞は、経済ガバナンスに関する研究業績を授賞理由としている。経済ガバナンスの研究に対してゲーム理論の応用が90年代に大きく進んだことに対しては、ウイリアムソン教授が、機会主義など人間の特性に基づいて取引費用の中身を明らかにしたことが大きく寄与している。組織・契約の経済学の研究手法として、ゲーム理論の応用はその後も拡がり続けているが、今後の10年を見据えたとき、解決すべき本質的な問題は何か、研究枠組みや手段はどうあるべきか、を考える必要がある。このため、ウイリアムソン教授をはじめ指導的な立場にある研究者に発表をお願いし、議論が行われた。 (2)神戸大学における講演会 "Be disciplined. Be interdisciplinary. Have an activemind." 神戸大学は古くからウイリアムソン教授と研究交流を持ち知的成果を我が国に紹介してきた。最近では、神戸大学大学院法学研究科齋藤彰教授および経済学研究科柳川隆教授が中心となって2003年にウイリアムソン教授を招へいし、「法動態学」に関する研究交流を行うほか、ウイリアムソン教授のアドバイスを受けつつ、法学と経済学・経営学を融合した教育プログラムを開始していた。ウイリアムソン教授自身が学部課程での工学教育、修士課程でのMBAの後に、ハーバート・サイモンやリチャード・サイアートらを擁する学際性の高いカーネギー・メロン大学の教育を受けた経歴を持っており、その後の研究貢献は社会科学の各分野の壁を貫くものとなっている。このような経験を踏まえた講演会は、出光佐三記念六甲台講堂に集まった教官や学生約350名に対して、開かれた知的態度を持ち研究関心を広げて行く魅力について深い感銘を与えるものとなった。 (3)アジア開発銀行研究所におけるDistinguished Speaker Seminar "Public and Private Bureaucracies: The Transaction CostEconomics Perspective" アジア開発銀行の下部組織として、アジア途上諸国の経済発展に関する政策研究と人材育成を担うアジア開発銀行研究所(ADBI)では、官界・実業界・マスコミを中心に約80名の聴衆を得てウイリアムソン教授の講演が行われた。マクロ的にみた長期経済発展には、技術開発や革新を生み出す制度基盤しての(知的)財産権制度が極めて重要であり、その機能の解明にはウイリアムソン教授の取引費用の枠組みが有用である。講演では、非市場的な組織を中心としたウイリアムソン教授の研究枠組みが紹介され、政策分析担当者等に対して有益かつ貴重な視点を与える場となった。
招へい研究者の受入機関に対する寄与 今回のシンポジウムは、開催準備から外国人の経営学研究科大学院生も複数参加、また、シンポジウムには法学研究科の大学院生も参加し、経済学・経営学の教員との学際的な共同作業が実現した。法学や社会学、政治学など社会科学における学際交流は、学内での潜在的機会が十分実現しえていなかったが、高い水準での研究の国際交流かつ異分野交流が実現できたことは教育上も研究上もたいへん有益であった。シンポジウムには、政府機関からの参加者や、遠方からの研究者参加も少なからずあり、国際的・学際的な研究交流機会は、他の研究機関との連携を今後深めるためにも有用であった。 その他 今回のシンポジウムは、開催準備から外国人の経営学研究科大学院生も複数参加、また、シンポジウムには法学研究科の大学院生も参加し、経済学・経営学の教員との学際的な共同作業が実現した。法学や社会学、政治学など社会科学における学際交流は、学内での潜在的機会が十分実現しえていなかったが、高い水準での研究の国際交流かつ異分野交流が実現できたことは教育上も研究上もたいへん有益であった。シンポジウムには、政府機関からの参加者や、遠方からの研究者参加も少なからずあり、国際的・学際的な研究交流機会は、他の研究機関との連携を今後深めるためにも有用であった。
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