シリア:合同査察チーム、化学兵器施設の破壊作業に着手
毎日新聞 2013年10月07日 11時58分(最終更新 10月07日 14時34分)
【ブリュッセル斎藤義彦】国連は6日、シリア入りしている化学兵器禁止機関(OPCW)と国連の合同査察チームが同日、化学兵器の生産・加工施設と、化学兵器に使われる可能性のある空の砲弾などを破壊する作業に着手したと発表した。シリアは来年半ばまでに化学兵器を全廃するプロセスに入った。9カ月足らずの短期間での廃棄完了は極めて厳しく、シリアは廃棄プロセス開始を急いだようだ。ただ、化学兵器自体の廃棄は査察で全容を把握し、処理施設や予算のメドを立ててからで、11月以降となる見込み。
米仏によるシリア攻撃を回避し、シリアの化学兵器を廃棄・撤去することは先月14日の米露合意で決まった。合意から約3週間で廃棄プロセスが始まったことは、シリアが廃棄に真剣に取り組んでいることを示す。国連やOPCWはシリアの協力姿勢を「良好」と評価している。
国連によると、廃棄プロセスはシリア政府の責任で行い、合同査察チームは作業を監視している。6日は、化学物質を混ぜて兵器用の毒物を製造する施設や、化学物質を砲弾に充填(じゅうてん)する施設を中心に、バーナーや破砕機で一部を破壊。報道などによると、ミサイルの弾頭や航空機に搭載する爆弾も破壊したという。化学物質が充填されていない空のものとみられる。国連はこの作業を数日間続ける。
現在約20人の合同査察チームは今週から約100人に増員され、化学兵器の実態把握を急ぐ。シリアが提出した申告内容の真偽を査察で確認、全容が判明した後、11月15日までに化学兵器の廃棄計画を立てる。
共同通信によると、シリアの化学兵器は25カ所に点在し反体制派支配地域にもある。