水銀の輸出入などを規制する「水俣条約」を採択するための外交会議で、石原伸晃環境相が政府主催の水俣病犠牲者追悼式の欠席を検討していることが７日、分かった。洋上風力発電実証機の視察が理由だが、開催国として議長を務める石原環境相の判断は論議を呼びそうだ。

　会議は９〜１１日に熊本県水俣市と熊本市で開かれ、閣僚級を含め約１３０カ国から参加する。追悼式は９日午後１時過ぎに始まり慰霊碑への献花などを行う。

　環境省によると、石原環境相は９日午前、長崎県五島市での洋上風力発電実証機の完成式への出席を検討。式後に飛行機と新幹線を乗り継いで水俣入りしても追悼式に間に合わず、午後５時からの開会式に出席する予定にしていた。同省は「台風２４号の接近も考慮しながら、日程を最終調整中」としている。

　外交会議の日程は１月に既に決まり、風力発電の完成式の日程が決まったのは９月だった。環境省にとって地球温暖化対策は近年、主要政策となったが、水俣病問題は旧環境庁発足のきっかけとなった原点。欠席には省内からも疑問の声が上がっている。【阿部周一】