2013.9.26 THU
「文明は農業ではなく、戦争によって発達した」:数学モデルによる歴史分析
TEXT BY AKSHAT RATHI, KLINT FINLEY
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI, HIROKO GOHARA/GALILEO
ARS TECHNICA (US)
左は実際のデータで、右はコンピューターモデル。赤色は文明の存在確率が高い地域、緑色は低い地域。Image: Thomas Currie
ほかの研究者、例えば
ジャレド・ダイアモンド(日本語版記事)や
ジェイムズ・ロビンソンはそれぞれ、農業と社会制度が文明を発達させたと主張している。
ターチン氏は、「農業によって可能になった余剰生産物が文明を生み出した」とする理論を「ボトムアップ理論」と呼ぶが、今回の研究は、こうした理論は間違っている(少なくとも、不完全である)ことを示すことになる。「歴史的には戦争のかたちをとった『社会相互の競争』が、複雑な社会の進化を進めた」とターチン氏は述べる。
一方、カリフォルニア大学デービス校の名誉教授であるピーター・リチャードソンは、歴史動力学を評価しながらも、「結論を出すのは時期尚早であり、今回検証されている仮説も、結局は間違いか、少なくとも不完全だと証明されるだろう。このモデルは、中央アジアにおける巨大帝国の台頭を予測できていない。そこでは現行モデルにないことが起こっている」と指摘している。
この点はカリー氏も認めるところだ。「われわれの出した結果は、スケールが大きかったために、よく一致した。われわれが多くの複雑な要素を無視していることは認識している」。
現在、歴史学、考古学、社会学のデータを統合したデータベースを構築する
取り組みが進められており、これを活用すれば、モデルの信頼性もはるかに向上していくことだろう。
※この記事は抄訳で、
別の英文記事と統合しています。
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