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「文明は農業ではなく、戦争によって発達した」:数学モデルによる歴史分析

 
 
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TEXT BY AKSHAT RATHI, KLINT FINLEY
TRANSLATION BY TOMOKO TAKAHASHI, HIROKO GOHARA/GALILEO

ARS TECHNICA (US)


左は実際のデータで、右はコンピューターモデル。赤色は文明の存在確率が高い地域、緑色は低い地域。Image: Thomas Currie


ほかの研究者、例えばジャレド・ダイアモンド(日本語版記事)やジェイムズ・ロビンソンはそれぞれ、農業と社会制度が文明を発達させたと主張している。

ターチン氏は、「農業によって可能になった余剰生産物が文明を生み出した」とする理論を「ボトムアップ理論」と呼ぶが、今回の研究は、こうした理論は間違っている(少なくとも、不完全である)ことを示すことになる。「歴史的には戦争のかたちをとった『社会相互の競争』が、複雑な社会の進化を進めた」とターチン氏は述べる。

一方、カリフォルニア大学デービス校の名誉教授であるピーター・リチャードソンは、歴史動力学を評価しながらも、「結論を出すのは時期尚早であり、今回検証されている仮説も、結局は間違いか、少なくとも不完全だと証明されるだろう。このモデルは、中央アジアにおける巨大帝国の台頭を予測できていない。そこでは現行モデルにないことが起こっている」と指摘している。

この点はカリー氏も認めるところだ。「われわれの出した結果は、スケールが大きかったために、よく一致した。われわれが多くの複雑な要素を無視していることは認識している」。

現在、歴史学、考古学、社会学のデータを統合したデータベースを構築する取り組みが進められており、これを活用すれば、モデルの信頼性もはるかに向上していくことだろう。

※この記事は抄訳で、別の英文記事と統合しています。

 
 
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