TPP:農産物「重要5項目」も検討対象 政府・自民方針
毎日新聞 2013年10月06日 23時08分(最終更新 10月07日 08時47分)
【ヌサドゥア(インドネシア)宇田川恵】自民党は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、農産物の「重要5項目」を関税撤廃・削減の対象にするかの検討に入る。これまで重要5項目を「聖域」とし、関税交渉のテーブルに載せないとしていたが、関税分野の交渉が難航していることを受け、方針転換する。自民党が関税見直しの方向性を打ち出せば、政府も重要5項目の扱いの再検討に入る見通しだ。
自民党の西川公也TPP対策委員長は6日、TPP交渉閣僚会合が開かれたインドネシアのバリ島で記者団に対し「(重要5項目の中で関税維持の分野から)抜けるか抜けないかの(品目ごとの)検討はさせてもらわないといけない」と述べた。閣僚会合で、TPP交渉の大筋合意表明に向けた動きが進んだことを踏まえたもので、西川氏は「党幹部と相談しながら、(重要5項目の関税撤廃の検討などの)ピッチを上げていく」とも説明。さらに「過去(の貿易自由化の際)、農林水産業を守る対策を打ったが、今回も打つのか検討したい」と述べ、関税の撤廃・削減にあたっては、農業対策の検討が必要との認識を示した。西川発言に対し、甘利明TPP担当相は「党で考えていただくのはありがたい。連携をとっていきたい」と応じた。
コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目計586品目の関税を維持すると、自由化率は最大93・5%。しかし、米国などは90%台後半を求めるとみられている。重要5項目全てを聖域にしたままでは、関税交渉の決着は難しい。
一方、全国農業協同組合中央会(JA全中)などは2日、重要5項目の関税維持を求める緊急集会を開き、自民党の石破茂幹事長が「重要5項目は必ず(関税を)守る」と断言していた。聖域方針の転換で、農業団体や党内からの反発が噴き出すのは必至だ。