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'13/10/6

維持費かさみ取り壊し浮上



 広島市中区の本通り商店街に唯一残る被爆建物、広島アンデルセン旧館に浮上した建て替え計画。被爆と復興を体現する歴史的建物は商店街のシンボルでもあるが、維持コストは重く、所有するアンデルセングループ(中区)は苦悩する。

 商店街にチェーン店の派手な看板が増える中、ルネサンス様式の壁面が存在感を放つ。「商店街で唯一重みを感じる建物。実際に使っているからこそ被爆の歴史が伝わる」。旧館内のレストランを利用する安佐北区の川原春江さん(72)は存続を求める。

 天窓から外光が差し込み、吹き抜けを太い柱が囲む。銀行だった被爆前の面影を残す店内で、石窯からパンが焼き上がる。創業者の故高木俊介氏は1967年に建物を買い取り、「食卓に幸せを運ぶ」をコンセプトに理想の店を実現。これを全国に広げた。

 強度を保つため太い柱は撤去できず、空調も効きにくい。妻の彬子さん(88)たちは「被爆した広島で商いを始めた。原爆に耐えた建物を壊してはいけない」と維持してきた。

 だが、老朽化は進む。46本の柱を鉄板で覆うなどした2002年には耐震工事に1億5千万円を要した。東日本大震災を受けて耐震性を高めるには、工費が大幅に増す見通し。バリアフリー化にも制約がある。「予算が限られ、今の構造で安全を維持しながら改装するのは限界に来ている」と高木誠一会長(65)は明かす。

 旧館は商店街のほぼ中央にあり1日約5千人が訪れる。「本通りのランドマーク。できるだけ残してほしい」とする広島本通商店街振興組合の下村純一理事長(63)も一方で、「安全面や企業の発展も考える必要がある」と話す。

【写真説明】被爆前の面影を残す広島アンデルセン旧館の店内(撮影・天畠智則)




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