10月4日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル、対円で1カ月ぶり安値近辺-政府閉鎖で
ニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で1カ月ぶりの安値近辺で推移した。米政府機関の一部閉鎖で雇用統計の発表が延期され、金融緩和が縮小されるタイミングを見極めにくくなった。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は2週間ぶりの低水準を付けた。アトランタ連銀のロックハート総裁はデータが不足すれば債券購入縮小について「一層慎重になるだろう」と述べた。米議会は債務上限の引き上げでも合意する必要がある。ポンドは最近の上昇は行き過ぎとの見方から、主要16通貨の大半に対して下落した。
BNPパリバの通貨ストラテジスト、バシーリ・セレブリアコフ氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「政府機関の閉鎖が長引くほど経済への影響は大きくなる」と指摘。「債務上限引き上げ問題は金融市場にはるかに大きな影響を与える可能性がある。ドルが9月に既に軟調に推移していたことから、ドル売りの持ち高が膨れ始めている」と述べた。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で前日比0.2%高の1ドル=97円48銭。一時は96円96銭と、8月28日以来の安値近辺まで下げた。週間では0.8%安。対ユーロでは前日比0.5%上昇の1ユーロ=1.3558ドル。円は対ユーロで0.2%上げて1ユーロ=132円14銭。
米ドル指数は0.2%上昇の1009.98。一時は9月19日以来の水準に低下した。
「大きな問題は債務上限めぐる協議」みずほ銀行の為替ストラテジスト、シレーン・ハラーリ氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、「ドルの軟調は政府機関閉鎖がきっかけだったのは明らかだが、市場が現在懸念している大きな問題は債務上限をめぐる協議だ」と語った。「市場は週末を前に慎重な姿勢をやや強めている」と続けた。
今週、対ドルで9カ月ぶりの高値を付けたポンドは続落。早期利上げを正当化できるほど英経済の回復基調は強くないとの見方が、背景にある。
ラボバンク・インターナショナルのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「早期利上げ説はやや勢いを失った。悪いニュースに備え、ポンド買いの持ち高が幾らか整理されている」と話した。
ポンドは0.9%安の1ポンド=1.6010ドル。1日には1.6260ドルと、1月2日以来の高値を付けていた。
経済指標の発表延期17年ぶりの米政府機関閉鎖の影響で、今週発表予定の経済指標では雇用統計など3つが延期された。
ロックハート総裁は3日、「経済がどのあたりにあるか、どこへ向かっているかを把握する上で、データが少なくなることは助けにならない」と発言。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合のある29-30日まで政府閉鎖が続いていれば、「極めて不透明な情勢を引き続き目にすることになる。そうした状況で判断を下すのは非常に難しいだろう」と語った。
原題:Dollar Trades at Almost 1-Month Low Versus Yen on U.S.Shutdown(抜粋)
◎米国株:上昇、予算協議の先行きを楽観-週間では下落
米株式相場は上昇。議会が予算協議の行き詰まりを打開し、デフォルト(債務不履行)を回避するとの楽観が広がった。S&P500種 株価指数は週間では下落した。
S&P500種の業種別10指数は全て上昇。大型株ではウォルト・ディズニーやボーイングの上げが目立った。フェイスブックも上昇。傘下のインスタグラムで広告販売を始めると発表したことが材料視された。
S&P500種 株価指数は前日比0.7%高の1690.50。ダウ工業株30種平均は76.10ドル(0.5%)上げて15072.58ドル。
フィデュシャリー・トラストの副会長兼最高投資責任者(CIO)、マッキントッシュ・パルシファー氏は議会の予算協議について、「基本的に政治劇であり、最終的にはうまくまとまるとの見方が広がっている」と指摘。「デフォルトは起こらない。債務上限を引き上げる何らかの方法を見つけるだろう。政府職員も仕事に復帰する。数週間もすれば何も影響はなくなる」と続けた。
S&P500種は週間では0.1%下げた。一時は17年ぶりの政府機関閉鎖の影響で1.3%安まで下落した。
ベイナー下院議長ベイナー下院議長はこの日、たとえ民主党の票が必要になったとしても米国をデフォルトさせるわけにはいかないと、あらためて表明。下院共和党は予算協議の行き詰まり解消に向けて会合を開いた。
ブラッックロックのラリー・フィンク会長兼最高経営責任者(CEO)、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は、米国の債務上限引き上げをめぐる対立が、デフォルトを回避する形で打開されるとの見通しを示した。
グロース氏は3日、政治家が点稼ぎで行っている「政治ショー」だと述べた。
サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は3日、政府機関閉鎖が2週間にわたれば10-12月(第4四半期)の経済成長率は0.25ポイント押し下げられるとの試算を示した。ブルームバーグのエコノミスト調査では、閉鎖が1週間続いた場合、成長率が0.1ポイント押し下げられると予想されている。
デフォルトへの懸念クロスブリッジ・キャピタルの投資責任者、マニシュ・シン氏(ロンドン在勤)は「市場としては、予算をめぐる議会の不一致より政府のデフォルトへの懸念の方が大きい」と述べた。
政府機関閉鎖の影響で、この日予定されていた雇用統計の発表は延期となった。経済指標が発表されないことから、政策の判断材料としてデータに注目する金融当局としては経済情勢の判断がより難しくなる。
アトランタ連銀のロックハート総裁は3日、データが不足すれば債券購入縮小について「一層慎重になるだろう」と言明した。
S&P500種の業種別24指数では23指数が上昇。唯一下げたのは不動産株で0.2%下落した。業種別10指数では資源株やヘルスケア関連株が特に伸びた。
ディズニーは2%高の65.30ドル。ボーイングは1.7%上げて117.20ドル。
フェイスブックは3.8%高の51.04ドルだった。
原題:U.S. Stocks Rise as Optimism Grows Over Ending BudgetImpasse(抜粋)
◎米国債:反落、米国債入札に備える-政府閉鎖は4日目に
米国債は反落。米政府機関閉鎖は4日目に入った。米財務省は来週、640億ドルの国債入札を実施する。
10年債利回り は約7週ぶり低水準から上昇した。週間ベースでの利回り推移は約6か月ぶりの小幅な動きだった。ベイナー米下院議長は、予算交渉の行き詰まり打開や債務上限引き上げ、さらに可能な限り多くの共和党の優先事項の達成に向け、党を結束させようと努めている。財務省は債務上限の突破を回避する特別措置は今月17日までに尽きると述べている。
モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク州パーチェス在勤)は「基本シナリオではデフォルト(債務不履行)を想定していない」と述べ、「政府機関閉鎖で影響を受けているところも多いが、短期的には債務上限に関心が集まっている」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.65%。週間ベースでは2bp上昇した。利回りのレンジは2.66-2.58%と、4月以来の最小だった。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格はこの日11/32下げて98 3/4。
TBレートの上昇10月24日に償還期限を迎える財務省短期証券(TB)のレートは0.12%。9月27日にはマイナス0.01%だった。投資家はTBの保有リスクに備えてレートのプレミアム(上乗せ)を求めている。
資産運用者は債務上限引き上げの期限とされる10月17日前後に償還期限を迎えるTBの投資資金を引き揚げつつある。1カ月物TBレートはこの日0.19%と、2012年11月に記録した3年9カ月ぶりの高水準に達した。3カ月物TBレートは0.02%。両TBのレート差の逆転は2008年9月以来で最大となった。
プルデンシャル・ファイナンシャルのチーフ投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は「こうしたTBを保有し、それが10月半ばや月末に償還期限を迎えるとしたら、今の状況ではどうなるか先行きが見えない」と述べた。
来週の入札財務省は8日に3年債(300億ドル)、9日に10年債(210億ドル)、10日に30年債(130億ドル)の入札を実施する。
ベイナー議長は共和党議員に対し、たとえ民主党の票が必要になったとしても米国をデフォルト(債務不履行)させるわけにはいかないと述べている。共和党の議会関係者2人が語った。
同議長や他の党指導者は政府機関の一部閉鎖や債務上限引き上げ問題の解決策を模索しており、同議長は非公式に共和党議員と会談している。党指導者は共和党が掲げる優先事項と債務上限の引き上げを組み合わせ、来週にも採決に持ち込むことを目指している。
米財務省は3日発表したリポートで、議会が連邦債務の上限を引き上げずに米国がデフォルトに陥った場合、「壊滅的な事態になる恐れ」があると警告した。
ブルームバーグ米国債指数 は月間ベースでほぼ変わらずで推移している。先月は0.9%上昇した。年初からは2.4%下げている。ブルームバーググローバル先進国ソブリン債指数は同2.7%下げた。
原題:Treasuries End Advance as U.S. Prepares Debt Sales AmidShutdown(抜粋)
◎NY金:続落、政府機関閉鎖の影響は一時的との見方で
ニューヨーク金先物相場は続落。米政府機関の一部閉鎖による影響は短期にとどまるとの見方から、価値保存手段としての金の魅力が低下した。株式市場ではS&P500種株価指数が一時0.8%高まで上昇した。
RJオブライアン・アンド・アソシエーツ(シカゴ)のシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、「資金は株式に流れているようだ」と指摘。「金には安全逃避のプレミアムがみられない」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.6%安の1オンス=1309.90ドルで終了した。
原題:Gold Falls on Bets U.S. Government Deadlock Will BeSettledSoon(抜粋)
◎NY原油:反発、熱帯性低気圧の接近で生産障害を警戒
ニューヨーク原油先物相場は反発。熱帯性低気圧カレンが6日朝にもルイジアナ州南端に上陸するとの予報を受け、BPはメキシコ湾の生産設備の操業を停止した。米政府機関の一部閉鎖はきょうで4日目。ベイナー下院議長はデフォルト(債務不履行)は容認しないと述べた。
プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケットアナリスト、フィル・フリン氏は「市場は熱帯性低気圧に注意を払っている」と指摘。「ハリケーンには発達しそうもないが、かといってまったく無視するわけにもいかない。生産に影響する可能性は確実にある。予算をめぐる政治的こう着への懸念も続いている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物11月限は前日比53セント(0.51%)高の1バレル=103.84ドルで終了。週間では0.9%、年初からは13%の値上がり。
原題:Crude Rises as Tropical Storm Karen Curbs Output in theGulf(抜粋)
◎欧州株:ほぼ変わらず、米政府機関の閉鎖で週間は2週続落
4日の欧州株式 相場は前日からほぼ変わらず。米政府機関の一部閉鎖は4日目に入り、指標のストックス欧州600指数は週間ベースで2週続落となった。
フィンランドのタイヤメーカー、ノキアン ・レンカートは約1年ぶりの大幅安。通期の業績見通しを下方修正し、これが嫌気された。オーストリアの鉄鋼メーカー、フェストアルピーネは2.3%下落。同銘柄の投資判断をシティグループが引き下げた。一方、スイスのチョコレートメーカー、リンツ・アンド・シュプルングリーは2007年以来の高値に達した。約4億5000万スイス・フラン相当の自社株購入計画が好感された。
ストックス欧州600指数 は前日比0.1%高の309.89で終了。財政協議の行き詰まりによる米連邦政府の1日からの一部機関閉鎖を受け、前週末比では0.7%下げ、年初来上昇率は11%に縮小した。17年ぶりの政府機関閉鎖で、最大80万人の連邦職員が自宅待機となっている。
メリテン・インベストメント・マネジメント(デュッセルドルフ)の欧州株アセットマネジャー、トビアス・ブリッチュ氏は電話インタビューで、「何の解決もないまま1日が過ぎると、人々はますます神経質になる」と指摘。「米国の景気回復もそれほど力強くなく、政府機関閉鎖が世界に与える影響を過少評価すべきではない。80万人が自宅待機なら、消費がけん引役の経済では消費者信頼感に響く」と語った。
4日の西欧市場では18カ国中13カ国で主要株価指数が上昇。英FTSE指数は0.1%、仏CAC40指数は0.9%それぞれ上げ、独DAX指数は0.3%高となった。
原題:Europe Stocks Little Changed as U.S.Shutdown Enters Fourth Day(抜粋)
◎欧州債:イタリア債利回り低下、政局安定を楽観-英独債下落
4日の欧州債市場ではイタリア国債が上昇し、週間ベースでもプラスとなった。同国議会が今週、レッタ政権を信任したことから、政治的安定への期待が高まった。
イタリア10年債 はここ4日で3日目の上げとなった。レッタ政権信任で新たな総選挙のリスクが回避された。ポルトガル国債は続伸。同支援プログラムの8、9回目の査定が完了したことが背景にある。ドイツ国債は米国債につれ安。米予算をめぐる政治的こう着が解消されるとの見方が広がり、安全を求める動きが後退した。スペイン国債は上昇した。
バークレイズの資産配分調査部門の責任者、ジム・マコーミック氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「今のイタリアは長年見られなかった政治的に良好な状況にある」とし、「イタリア債を週ごと、月ごとに見ていくと、今週は良い週だった。当社のストラテジストらは周辺国債のポジションを引き続きロング(買い持ち)にできるとみている」と語った。
ロンドン時間午後4時18分現在、イタリア 10年債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.31%。前週末比では25bp低下した。同国債(表面利率4.5%、2024年3月償還)価格はこの日、0.48上げ101.92となった。
ドイツ10年債 利回りは4bp上昇し1.83%。米10年債利回りは3bp上げて2.64%。
英国債も米国債とともに下落した。英10年債利回りは6bp上げ2.73%。先月30日には2.67%と、8月27日以来の低水準を付けた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日0.47下げ95.825。
原題:Italian Yields Drop on Political Optimism;Portugal’s Bonds Rise(抜粋)Pound Falls for Second Day as Growth OptimismWanes; Gilts Drop(抜粋)
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更新日時: 2013/10/05 07:05 JST