(伝農 浩子=フリーライター)
(前回記事はこちら)
2005年、着物の入門書といえる『パリジェンヌの着物はじめ』を執筆し、話題となったフランス出身のマニグリエ真矢さん。まるで日常着のようにさりげなく着こなす姿に、発売後はもちろん、発売前から問合せが多かったという。そのセンスを、日本の習慣や生活の中にも反映させようとしている。
日本人の精神、美しいものへのこだわりに惹かれた
10代の頃に見たさまざまな国の映画の中で惹かれたのが、黒澤明や小津安二郎などの日本映画だったというエクスプリム代表のマニグリエ真矢さん。その中で描かれた世界感がとても魅力的で、字幕無しで理解したいと思ったのが、パリ大学で日本語や日本文化に進んだ理由の一つだったという。
「中でも、黒澤明の『どですかでん』が印象的でした。そこで描かれていた人間性が、成功している日本、伝統的な日本とはまた違う、その時代の日本人を描いていた。日本人の考え方、精神、スピリットに興味を持ったんです」
加えて、魅力的だと思ったのが、美しいものに対するこだわりだ。
「ラインの美しさとか、何回も何回も何回も完璧を目指し続ける姿勢。達成することが目的ではなくて、そのことをずっとやり続けることに意義があるという、すごい力、精神力だな、と」