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バーネット・ニューマン 《アンナの光》

バーネット・ニューマンは、第二次世界大戦後のアメリカで勃興した抽象表現主義を代表する画家です。一色に塗られた大画面に、「ジップ」と呼ばれる垂直の線を配した色面としての絵画をつくり、マーク・ロスコと共にカラー・フィールド・ペインティングの様式を築き上げました。本作は、ニューマンが63才の時に手がけた作品です。制作の3年前に亡くなったニューマンの母の名にちなんで《アンナの光》と名付けられました。ニューマンが制作した絵画の中で最大のサイズを誇り、色の強度や輝度の点でも、これに勝る作品は他にありません。高さ2.8m、横幅6.1mという桁外れに大きな画面は赤い絵具で被われており、最初はローラーで、次いで刷毛で、幾層かに塗り重ねられています。画面は何か特定のものが描かれているわけではありませんが、充実した色で満たされ、その強烈な赤の色彩は鑑賞者の視界を瞬時に被うほどです。ところで、ニューマンは自作について次のように述べています。「僕が絵を描く時には、別に何かを観察しながら描いているわけではないので、その意味では、何か注視するようなものはないわけです。絵画そのものがあり、それが独自の主題を持ち、内容を持つのです。それが、僕自身に何らかの影響を及ぼすように望み、その絵を見る誰か他の人にも、やはり何らかの影響を及ぼすように望んでいます。絵画とは、少なくとも、それを制作した時に抱えていた感情的な内容を、何らかの形で自ら表出しているものです。だから、僕はタイトルを使うことで、絵を描いている時にその作品が持っていた意味を呼び起こそうとしているのだと思います」。

通常、巨大な作品は少し離れた位置から鑑賞される傾向にありますが、ニューマンの大きな絵は近くで鑑賞することを、作家自身が意識していたと言われています。そのため、《アンナの光》は鑑賞者が作品から離れすぎず、適度な距離を保つよう設計された「ニューマン・ルーム」に展示されています。


バーネット・ニューマン 《アンナの光》 1968年 アクリル、カンヴァス 276.0 x 611.0cm
© 2008 Barnett Newman Foundation/ARS, New York/SPDA, Tokyo


DIC川村記念美術館の「ニューマン・ルーム」

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