(メモ)常に観察すべき五つの真理(仏教経典「Abihinhaoaccavekkhitabbathanasuttam」)

2013/10/06


日本テーラワーダ協会が発行する仏教の入門冊子を読んでいます。こちらは「Abihinhaoaccavekkhitabbathanasuttam(アビンハパッチャヴェッキタッパターナ・スッタン)」という、まるで暗号のような名前の経典の解説書。「常に観察すべき項目の経典」くらいの意味になるそうです。以下、メモを残しておきます。


常に観察すべき五つの真理

・「私は老いるものであり、老いという性質を乗り越えていない。このことを女性も男性も在家も出家も常に観察すべきである」

・「私は病気になるものであり、病気という性質を乗り越えていない。このことを女性も男性も在家も出家も常に観察すべきである」

・「私は死ぬものであり、死という性質を乗り越えていない。このことを女性も男性も在家も出家も常に観察すべきである」

・「私の好きなものはすべて変化し、離れていくものである。このことを女性も男性も在家も出家も常に観察すべきである」

・「私は業で作られ、業を相続し、業から生まれ、業を親族とし、業に依存している。私の行為の結果は、善いことであれ悪いことであれ、私が受ける。このことを女性も男性も在家も出家も常に観察すべきである」

・生命の本能には「本当のことが知りたい」ということがあります。たとえば、なぜ奥さんは旦那さんの携帯電話をのぞいてみるのでしょうか?(中略)これは、「本当のことが知りたい」という気持ちがあるからです。

・真理の立場からみますと、強盗が店員を殺しても、店員が身を守るために強盗を殺しても、どちらも殺生の罪を犯したことに変わりありません。裁判では店員の方は正当防衛となるかもしれませんが、「人の命を奪った」ということは紛れもない事実です。その事実から逃れることはできないのです。

・なぜ殺しを正当化するのでしょうか?それは「自分はなんとしてでも生きるべきだ」という前提があるからです。しかし、どんな生命も、どんなに踏ん張っても、永遠に生き続けることはできません。誰でも最終的には必ず死ぬのです。(中略)「なんとしてでも生きるべきだ」と、そんなこと言っている場合ではないのです。

・なぜ「業」のことを朝昼晩、常に観察すべきかといいますと、観察することによって、人は身体で悪い行為をすることがなくなり、言葉で悪いことを話すことがなくなり、頭で悪いことを考えることがなくなるからです。それで罪を犯さなくなるのです。もし罪を犯してしまったら、自動的にその罪の結果を「次の生」に持っていく羽目になります。

・覚りに達するために取り除くべき愛着とはどのようなものかといいますと、それは眼耳鼻舌身意に入る対象、すなわち色声香味触法にたいする愛着です。レベルが相当上がります。

なるほど、老い・病気・死・愛着・業が、お釈迦様が観察すべきだと語ったものなんですね。実に明快。

特にこの中で面白いのは「業」の考えだと思います。仏教は近代的な理性から照らし合わせても十分に合理的に見えるのですが、「業」すなわち「輪廻転生」というのは、ぼくらの脳みその理解を超えた話なので、近代的な理性では「納得」できないものであるように感じます。かくいうぼくも、輪廻転生というメカニズムの意味はわかりますが、それを身体で納得することはできていません。この論理を身体に刷り込むには、それこそ修行が必要なのかもしれませんね。


日本テーラワーダ仏教協会


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