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国際
【産経抄】10月6日
2013.10.6 03:06
[産経抄]
明日からシーズンを迎えるノーベル賞の報道で、平和賞だけはいささか厄介である。その性格上、政治的な色彩が強く、受賞者が決まるたびに論議を呼ぶからだ。世界中どころか、受賞者が出た国でも全面的に歓迎されるケースは少ない。
▼1974年、「非核三原則」などによる佐藤栄作元首相の受賞を多くの日本国民は素直に喜んだ。だが左翼系マスコミは「資格があるのか」などと、冷淡だった。3年前の中国民主活動家、劉暁波氏の場合、中国当局がノーベル賞委員会に圧力をかけ授賞を阻止しようとしたほどだ。
▼今年のその平和賞にロシアのプーチン大統領を推す動きがあるという。シリアの化学兵器問題で、米国の軍事行動を防ぐ提案を行い、流血の事態を避けたからという理由だ。すでにプーチン氏支持団体がノーベル賞委員会に推薦状を送り済みだそうだ。
▼いかにも「泥縄」的だが、万一受賞しても国際的にどう受け止められるだろう。軍事行動回避といっても助かったのはシリアの政権だけである。化学兵器を間違いなく廃棄するのか、不透明だ。肝心のシリア内戦の行方は分からず、こちらの「流血」は回避されていない。
▼それだけに米国をはじめロシアと対立する国は「不愉快」と感じるに違いない。ロシア国内もそうだ。プーチン政権は最近、言論抑圧を強めているだけに、受賞でますます強気になれば迷惑という人も多いだろう。いや、どうしても平和賞をというなら良い考えがある。
▼北方領土を即刻、無条件で日本に返すことだ。戦後68年の問題が一気に解決するのだから、これほど平和賞の名にふさわしい決断もあるまい。横暴を極めた旧ソ連との決別も意味しており、世界中から大歓迎間違いなしと思うのだが。
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