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米政府一部閉鎖 債務不履行の事態も
10月4日 19時52分

米政府一部閉鎖 債務不履行の事態も
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アメリカでは、与野党の対立から予算が成立せず、政府機関の一部閉鎖が続くなか、今月中旬までに政府の借金の上限を引き上げなければ債務不履行に陥りかねない事態も迫っていて、財務省は、議会に対し直ちに対応するよう求めました。

今月1日から政府機関の一部閉鎖が続くアメリカでは、政府が追加の借金をできるよう上限を引き上げる対応を議会が取らなければ、資金をやりくりできなくなって債務不履行に陥りかねない深刻な事態が迫っています。
アメリカ財務省は3日、問題の早期解決を求め報告書を公表し、おととし夏に議会が借金の上限引き上げを認めず債務不履行寸前に至った際には、世界の金融市場に混乱が及び、アメリカ国債の格付けが引き下げられたことを改めて強調しました。
そのうえで財務省は、仮にアメリカが債務不履行に陥れば世界に流通するアメリカ国債の信用が揺らいで金融市場が激しく混乱するうえ、消費や雇用など実体経済も悪化し、その影響は「破滅的で、5年前の金融危機かそれ以上の打撃となる」と警告しました。
アメリカ政府の借金は法律で定められた16兆7000億ドルの上限に達し、すでに新たな借金ができなくなっており、今は財務省が特別の措置で資金をやりくりしています。
しかしこの措置も今月17日までには限度に達し、その時点の手元の資金は僅か300億ドルになり、それ以降は、過去に発行したアメリカ国債の利払いなどがいつできなくなってもおかしくない危機的な状態になるとして、議会に直ちに対応するよう求めています。
こうした事態が迫るなかでもアメリカ議会では、当面の予算案にオバマ政権が推進する医療保険制度改革の延期を盛り込むよう主張している野党・共和党が与党・民主党と対立し、3日も審議を続けたものの、予算成立の見通しが立っていません。
与野党が歩み寄って政府機関の閉鎖だけでなく債務上限の引き上げについても合意できるのかどうか、金融市場などでも懸念が強まっています。

日本経済への影響は

アメリカが債務不履行に陥った場合、最も懸念されるのが、ドルの信用が揺らぐことと、これに伴う急激な円高です。
もしそうなれば、日本の景気回復の動きを支えてきた輸出産業が大きな打撃を受けるのは避けられません。
また、これをきっかけにアメリカの景気そのものが悪化すれば、世界経済全体に影響が及び、日本でも輸出産業にとどまらず、幅広い産業が打撃を受けるおそれがあります。
さらに、企業業績の悪化懸念による株価の大幅な下落、それに伴う消費意欲の急速な冷え込みなど、企業業績の回復を起点に着実に改善してきた日本経済が再び停滞する事態を招きかねません。
何より世界最大の経済大国が借金を支払えないという事態はこれまでなかっただけに、影響は予想しづらく、また、世界で唯一の「基軸通貨」と言われるドルの信用が失墜すれば、世界経済全体に深刻な影響を与える可能性も指摘されています。
「SMBC日興証券」の宮前耕也シニアエコノミストは「仮に債務不履行という事態になればアメリカだけにとどまらず、日本経済にも大きな影響があるだろう。アメリカという国そのものへの信用が落ちることで、ドル安・円高となり、日本でも同時に株安が進むだろう。また、円高の影響で輸出企業の業績が悪化し、海外からの観光客が減ってしまうことも懸念される。日本の景気が持ち直している最大の要因は円安なので、これが円高になれば、大きな逆風となるだろう」と話しています。

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