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  エデン 作者:川津 流一
26.罠
「『ブラッククロス』の皆さんと別れた後、ちょっとした素材集めに外に出たら捕まってしまったんです」

 小屋の中に監禁されていたプレイヤー達を解放した後、シオンはなぜ彼女がここにいたのかを説明してくれた。
 クーパー鉱山で俺等と別れてから、レイジ達と共に始まりの街ダラスへと無事に帰還していたそうだ。だがレイジ達と依頼のやり取りを終えた後、別の素材を集める為に再びダラスの外へ出た時に襲撃され攫われたらしい。
 素材がダラス近辺で採れるものだったようで、油断して少人数で行ったところを狙われたようだ。
 しかし不幸中の幸いと言うべきか、俺達がダラスに到着して即座にギルド連合が強盗プレイヤー討伐に乗り出した為、捕まってからほとんど時間も経たずに救出となった。
 おかげで彼女はほぼ無傷のようだ。
 残念な事に室内にいた他のプレイヤー達については、いずれも心身共に深い傷を負っているようでこちらの呼び掛けに対する反応も薄く、即座に後方へと送って治療に当たらせる事になった。
 一応戦力的にハヤト達には劣るらしいライアス達のパーティが後方への報告も兼ねて護送役を引き受け、今準備を行っている。
 相談の結果、俺を含めたハヤト達のパーティはまだ余力も十分という事で更に奥へと探索を進めるつもりだ。

「皆さん助けていただいてありがとうございます。……特に師範代さんには二度も助けていただいて……」

 拘束から解放されたシオンが笑顔を浮かべながらぺこりとお辞儀をして、俺達へと謝辞を告げる。彼女の動きに合わせて真っ直ぐな髪とフードがフワリと揺れた。
 最初見た時も感じたが、この子が笑顔を浮かべると本当に周囲に花が咲いたように明るくなる気がする。
 この器量だと周りが放っておかないだろう。

「どういたしまして。……おい、師範代。この子はお前の知り合いか?」

 どうもそう思ったのは俺だけではないようで、ハヤトが肘で俺を小突きながら紹介を促した。ギン達他のメンバーも心なしかソワソワしているようで落着きない。

 ……鼻の下が伸びてるのを隠しきれてないぞ、ハヤト。それに他の奴も。

 美人に弱いと言っていたギンの言葉を思い出す。その率直さに苦笑を浮かべながらも、俺は一方で別な事も考えていた。

 ……あの狂気の現場を見てしまったからこそ、無理に明るく振舞おうとしているのかもしれない。

 茶番か本心かは判らないが、ここは俺も素直に彼らの要求に応える事にした。

「調薬士のシオンさんだ。知り合いと言っても先日あるダンジョンで顔を合わせただけだよ。あの時は『ブラッククロス』のメンバーと一緒にいたみたいだけど、確か『ブラッククロス』には所属してないんだっけ?」

 俺の問いにコクリと小さく頷くシオン。

「ええ。私は弟とずっと一緒にやってたのでどこにも所属してないんです。ただ『ブラッククロス』さんにはいろいろとお世話になってますので懇意にさせてもらってますけど」

 先日のシオン達のパーティにはいなかったが、彼女には弟がいるらしい。非常に小柄な彼女に弟がいるというと何だか不思議な感じがするが、無法世界のような現在の『エデン』の中では本物の家族の繋がりというものは何物にも代えがたい絆だろう。

「へぇ、弟がいるんだ。姉弟でプレイしてるなんて珍しいね。仲が良いんだな」

 ハヤトが感心したように話す。

「ええ、昔から私達すごく仲が良かったんです。何をやるのにも二人一緒で……『エデン』がこんな事になってしまいましたけど、それでも二人で乗り切ってきたんですよ。私は愚図で足を引っ張ってばかりでしたけど、弟がいつも助けてくれてたんです。……本当に自慢の弟です」

 彼女は本当に弟の事が大切なようだ。以前見たオドオドした表情とは一変して満面の笑みで饒舌に喋っていた。
 ……だが一瞬、語る彼女の表情に違和感を覚えたのは気のせいだろうか。
 と、そこでふと疑問が生じる。

「不躾かもしれないが……さっき襲撃されたと言っていたけど、弟さんと一緒だったのか? 大丈夫だったのか?」

 俺がその疑問を口にすると、シオンはハッと表情を強張らせた。

「あっ、そうでした! 弟は別行動だったので無事だと思うんですけど、知り合いの女の子が私と一緒に捕まっちゃったんです!」

 慌てたようにシオンがハヤトの胸へと縋りつく。

「なんだって!? それはまずいな。早く助けに行かないと……」

 シオンを抱き留めたハヤトが唸った。

「あの子の方が私より先に閉じ込められたので、捕まってる場所は判ります。お願いです! 私にできる事なら何でもしますからあの子を助けてあげてください!」

 目尻に涙を浮かべながら必死の表情でハヤトを見上げ、小柄な身を寄せるシオン。傍目に見ても激しく保護欲をそそられるその顔と仕草。
 そんなシオンの訴えに若干顔を赤くしながらもハヤトが力強く頷く。

「勿論だ! それが俺達の役目だからね。……皆行けるか?」

 シオンの話を聞きながらも俺達は準備を整えていた。といっても、これまでの戦闘ではそれ程厳しい戦闘はなかったので殆ど消耗もない。軽く消費アイテムの在庫を確認するくらいだ。
 シオンの話を信用するなら別の監禁小屋を発見できる可能性がある。加えて、蹂躙された強盗プレイヤー達の残党は最期の狂気に任せて何をしでかすかわからない。先程見た小屋の中の惨劇が脳裏に浮かぶ。
 ……可能な限り早急に救出すべきだろう。
 それに美しい少女からの嘆願ともあってハヤト達は奮起しているようだった。

「もち、準備できてるぜ!」

「美少女のお願いは聞かなきゃな!」

「うっほ、こういう展開燃えるな~」

 ハヤトの確認に対して口々に肯定の返事を返して騒ぎ出すパーティメンバー達。当然、俺も大きく頷いておいた。

「皆さん……ありがとうございます!」

 感極まったように口元を抑えながら頭を下げるシオン。
 ハヤトはそんなシオンの肩を抱きつつ、ライアスへと向き直る。

「というわけで、俺達は先に進んでこの子の知り合いを助けてくる。そっちの子達はよろしく頼む」

「おっけー。俺達も彼女達を送っていって報告済ませたら後を追うよ。気を付けてなー」

 ライアスは解放された女性プレイヤー達を横目で見つつ、手をヒラヒラと振った。
 トボけた表情ながら背負う大剣は赤を基調とした禍々しいながらも荘厳な意匠で、一目でレア物と判る逸品。対比するように銀色のブレストプレートが眩しく輝く。
 彼もまた『シルバーナイツ』の一員だけあって実力あるプレイヤーの一人なのだろう。
 敵地の奥に赴く仲間であるハヤトに対して随分軽い挨拶だが、ある意味信頼の裏返しなのかもしれない。
 現にハヤト達は気にすることなく身を翻し、シオンに話しかけていた。

「解放されたばかりのシオンさんには悪いけど、案内をお願いできないかな? 奥はまだまだ未探索だから俺達だけだと友達を探し出すのに時間がかかりそうなんだ。当然だけどシオンさんは俺達が必ず守るから安心してくれていい。仮にも俺達は『シルバーナイツ』の一員だからね」

 自信あり気に胸を張るハヤトとそれに便乗するギンやトール、パーティメンバー達。
 ハヤト達に囲まれながらシオンは小さく微笑んだ。

「はい、道案内は任せてください。……私と友達の事、お願いしますね」




 ライアス達と別れ、奥へと進む。
 先頭はタクヤとハヤト、そして二人に守られるようにシオンの姿。僅かに遅れてギンと俺、トール達魔術士のメンバーと続く。
 先程までは遠くに聞こえていた他パーティの戦闘音もいつしか聞こえなくなり、俺やハヤト達の着ている鎧の奏でる金属音と後衛プレイヤー達の服の衣擦れの音が夜明け前の暗い森に響いていた。
 最初こそシオンとお喋りを続けていたハヤト達だったが、奥へと進むうちに集中する為か次第と口数が少なくなり、今では皆無言を貫いている。これだけ静かな場所で呑気に会話などしていたら、潜んでいる敵からすれば良い的だろう。
 シオンの美貌に入れ込んでいたように見えたハヤト達だったが、流石にここが敵地であるというのは念頭にあったようだ。
 しかし、思えば随分と歩いた気がするが一向に何も見つからない。まだ実はそれほど進んでいないのだろうか?
 周囲は黒々とした森に囲まれ、不気味な静けさを保って俺達を誘っていた。
 【暗視】の魔術の効果はとっくに切れてしまい、今はギンの索敵能力を頼りに淡い魔術光を宙に浮かせながら進んでいる。周囲は薄暗く遠い先までは見通せない為、いまいち遠近感が掴めないのだ。
 これまで小屋らしきものはおろか、強盗プレイヤーの残党の一人にも遭遇することはなかった。
 歩きながら俺も常に【気配察知】を使用して周囲のプレイヤー反応を探ってはいるが、視界内の簡易レーダーには全く反応が現れない。

 ……果たして、シオンの言う友達の監禁小屋までの道のりはこれで本当に合っているのか?

 俺の脳裏にそんな疑問が湧いても仕方のない事だと思う。
 ……そう考えたのはどうやら俺だけではなかったようだ。

「なあ、もう随分歩いてきたけど例の小屋にはまだ着かないの?」

 先頭を行くタクヤが周囲を警戒しながらも脇を歩くシオンへチラリと視線を向けて尋ねた。
 それに対してシオンは困ったように首をかしげる。

「ええ、確かもうすぐだったと思います……道は合ってるはずです」

「でも周りに全然プレイヤーの反応とかないんだよなぁ」

 ずっと索敵を続けるギンもシオンに続いて困惑をこぼした。

「道は合ってるって話だし、もう少し進んでみよう。少なくとも何か痕跡は見つかるかもしれない」

 ハヤトがリーダーらしく決断する。どちらにせよ、まだ奥がありそうな雰囲気もあるので調査の為にも先へ進むべきだろう。
 他のメンバーもハヤトの意見に同意するように頷いた。

 そうして更に幾分か俺達は歩を進める。
 未だ俺達以外のプレイヤーの反応は無く、周囲の森は相変わらずシンと闇を湛えていた。

「……そういえば」

 前方へ向いたままシオンがポツリと突然呟く。その澄んだ声色は静まった森の中でよく響き、後ろを歩く俺達の耳にもはっきりと聞こえた。
 彼女の呟きに反応したハヤトとタクヤが歩を止め、シオンへと顔を向ける。
 しかしそんな彼らを無視するかのようにシオンはそのまま数歩歩き、彼らを追い抜いた形でようやく歩を止めた。
 そしてゆっくりと反転し、俺達へと向き直る。
 何事かと彼女を見るも、顔を伏せていて表情は窺えない。

「シオンさん?」

 突然の行動に訝しむハヤトが彼女に声をかけた。

「ねぇ、師範代さん。私、ずっと……ずっと尋ねたかった事があるんです」

 しかし、またしてもハヤトを無視したシオンは何故か俺へと声をかけてくる。
 そこでシオンが顔をあげた。
 彼女の顔を見た俺は一瞬ゾクリと寒気を感じた。

 これまでと変わらず微笑んではいる。……だが、目が全く笑っていないように感じたのだ。
 彼女の異様な雰囲気に知らず気圧されて一歩後退る。

「なんだ?」

 ゴクリと喉を鳴らして俺はシオンに問うた。
 彼女はその表情を崩さず、視線を俺の顔から腰へと落としていく。

「……その腰にある素敵な剣。一体どこで手に入れたんですか?」

 ……剣? 『迅剣テュルウィンド』の事か?

 俺も彼女に習って己の腰に差した『迅剣テュルウィンド』を見る。
 元はレオンが手にしていたアイテムランクAのユニークアイテム。今は鞘に納められている為、剣身に刻まれた美しい紋章のような特徴的な柄は見る事はできない。
 長らく相棒であったロングソードを失ってから代用品として使ってはいたが、流石アイテムランクAの武器だけあって申し分ない切れ味に加え使い心地も良く、これまでの戦闘で十分に活躍してくれている。

「元はある強盗プレイヤーが使っていたんだが、そいつを撃退した時に戦利品として手に入れたんだ」

 一体彼女は何を知りたいのか。
 若干の疑問を感じながらも『迅剣テュルウィンド』を手に入れた経緯を簡単に説明する。レオンと同じギルドメンバーであったハヤト達はこの剣の元の使い手が誰だったのかは恐らく知っているだろう。だから俺の説明に対しても特に反応せず、シオンと俺との間に流れる重い空気を感じて戸惑ったように視線を交互に動かしていた。
 だが、シオンは違ったようだ。
 一瞬ピクリと反応した後に再び顔を伏せてしまった。

「……そのプレイヤーの名前。もしかして……」

 シオンが顔を伏せたまま呟く。彼女の行動に戸惑う俺やハヤト達はその言葉の続きを待った。
 と、そこで俺の耳が異常な音を捕らえる。

 ザザッザザッという葉擦れの音と……鎧の板金がかち合う金属音!

 ハッとして【気配察知】と【心眼】を併用して周囲を探ると、そこには俺達を取り囲むように出現し武器を向ける八人のプレイヤーの姿。

 待ち伏せ!? こんな近距離に潜んでいたのに気づかなかったなんて!?

 俺の脳裏で警鐘が鳴り響く。
 俺はともかく、曲がりなりにもトップギルド『シルバーナイツ』のハヤトやギン達が敵の穏行に気づけなかったのだ。
 それはつまり敵がハヤト達と同格であるという事。
 これまで蹴散らしてきた低ランクの強盗プレイヤー達とはわけが違う。もしや敵方の本隊が近いのか?

 即座に事態を把握したハヤト達も身構えながら口々に叫んだ。

「敵襲!?」

「囲まれてるぞ!」

「気を付けろ! この穏形、かなりの高ランクプレイヤーだ!」 

 ハヤト達と同様に抜剣し身構える俺だったが、俺達から僅かに離れた前方で未だに顔を伏せたまま棒立ちのシオンに気づいてしまう。

「シオンさん!」

 思わず彼女を保護すべく駆け寄ろうとしたところで、俺より先んじて二人のプレイヤーが駆け寄った。
 その二人、ハヤトとタクヤはシオンを背に周囲の敵プレイヤーへと己の武器を構える。
 いざ、戦闘を開始しようとしたその瞬間。


 ゾブリ。


 肉を断つ生々しい音が響いた。

「え?」

 その音の発生源へと思わず目を向ければ、不思議そうに自分の腹部から生える短剣の柄を見つめるハヤトとタクヤ。
 その柄を両の手それぞれに握っているのは、

 ―――顔を伏せたままのシオン。

 予想外の事態に驚き硬直する俺も含めたパーティメンバー達。俺達の視線が集まる先でシオンは短剣を無造作に抜き取る。
 一瞬遅れてハヤト達の腹部から噴き出す濁った血。血の飛沫で点々とシオンのローブが汚れた。
 ダラリと下げられた彼女の腕の先で二本の短剣が鈍く光る。その剣身はハヤト達の真っ赤な血と、青みがかった毒々しい何かで汚れていた。
 汚れを拭いもせず、シオンはゆっくりと後方へ退いて行く。

 ハヤトとタクヤが、その場に崩れ落ちた。屈強な高ランクプレイヤーである彼らが、たかが腹部への一突き程度で倒れるはずがない。

「……っぐ、ぁぁ……」

「……ぅぅ……」

 ハヤト達の呻き声が聞こえてくる。よく見れば倒れた二人は微かに痙攣していた。
 何が原因かなどこの現場を見れば即座に頭に浮かぶ。

 あの短剣に高アイテムランクの強力な毒でも塗ってあったか!?

 そう予想するも周囲の敵プレイヤーはハヤト達を治療する時間はおろか検証する時間すら与えてくれなかった。
 それも当然だろう。
 シオンの突如とした裏切り行為で前衛二人を失った衝撃は致命的な隙を俺達のパーティに与えていた。

「【フリーズ・バインド】!」

 俺達を取り囲むプレイヤーの一人から聞こえる魔術詠唱。
 突如真っ白な冷気が俺達の足元から立ち上り、瞬間的に周囲を凍結。生成された無数の氷柱が俺達の足元を巻き込んであっという間に成長する。魔術の明かりを乱反射する美しい氷の結晶達は冷気を漂わせながら見事に俺達の脚を縫い止めていた。

「くそっ! 【氷】の拘束魔術か!」

 盛大に舌打ちしながら猛烈な勢いで杖を動かし、紋章を描こうとするトールや他の魔術士達。
 そこへ周囲から機関銃のような勢いで矢が次々と撃ち込まれる。
 俺はスキル【思考加速】と【見切り】を発動。ゆったりと動く世界の中では無数の赤い攻撃予測軌道が俺達の身体を貫いていた。
 即座に腰の『迅剣テュルウィンド』を抜き放ち、飛来する矢の攻撃予測軌道へと刃を滑らせて迎撃する。めまぐるしく剣身が瞬き、撃ち落とされた矢が俺の周囲に散らばった。
 足元の【フリーズ・バインド】とやらの拘束力は、以前くらった【アース・バインド】と感覚的に同程度。その気になれば俺にとっては大した障害にはならない。だがギンやトール達を守りながらとなると難しいだろう。
 現に今も俺自身よりもギン達後衛部隊へ飛来する矢を重点的に切り払っていた。
 俺の隣では短剣を抜いたギンも矢を切り払っていたが、さすがに対応しきれていない。

「がっ!」

 ついに俺やギンの防御を抜いた矢がトール達に届いてしまう。
 腕や胸などに矢を受けたトール達が悲鳴をあげながら杖を取り落とし、地面に崩れ落ちた。あと僅かで完成したであろう輝く紋章も光の残滓を残して溶けるように消えてしまう。
 倒れてすぐにトール達もハヤト達と同様に痙攣を繰り返し始めた。どうやら矢にも毒が塗られているようだ。

 ギン達でも気づけない巧妙な待ち伏せに高ランクプレイヤーを一撃で昏倒させてしまうような強力な毒。

 トッププレイヤー達を確実に仕留める為の用意された罠だろう。やはり敵方も相応の準備をしてあったようだ。
 しかし魔術系流派の後衛プレイヤーならともかく、強靭な肉体を誇る武術系流派の前衛プレイヤーすら一撃で昏倒させる毒など聞いた事がない。
 市場に出回らない程レアな高ランクアイテムなのか?
 そんなものまで手に入れられる高ランクプレイヤーが敵方に属しているのだろうか。
 ほんの僅かな間に追い込まれた絶望的な劣勢に歯噛みする。奇襲だったとはいえ、『シルバーナイツ』のハヤト達がこれ程簡単に制圧されるとは、敵の実力を甘くみていたようだ。

「畜生っ! こいつはヤバイぞ!」

 足を縫い止められ、不慣れながらも短剣で矢の猛攻を切り払うギンは流石トッププレイヤーの一人と言える。だが負担は大きいらしく、肩で息をしながら必死の形相で短剣を振るっていた。その顔には僅かに恐怖も見て取れる。
 先程の小屋での惨状を考えると、ここで俺達が倒れた先の未来はあまり考えたくないものだ。
 劣勢を盛り返す為にもまずは倒れた仲間を回復させたいところだが、敵からの矢は止まる気配を見せずアイテムをカードから具現化させる余裕がない。

 この状況、どうすれば…………ん!?

 突如矢の嵐が止んだ。
 警戒を解かず、剣を構えたまま静かに事態を見守る。
 俺とギンの視線の先には手を掲げたシオンの姿。彼女は先程から不気味に沈黙を保っていた。
 傍らからはギンの激しい息遣いが聞こえてくる。

 敵はシオンに従っているのか? 彼女は一体何者だ?

 疑問が俺の胸中で燻った。シオンは未だ顔を伏せたままで表情は窺い知れない。



「レオン」

「!?」

 だが突然、シオンからある名前が飛び出した。忘れもしないその名前に思わずピクリと反応してしまう。

「……その剣の元の持ち主はそんな名前じゃなかったかしら? ねぇ、師範代さん?」

 そう俺に語り掛けながらゆっくりとシオンが顔をあげた。彼女の視線が俺を貫く。
 その視線にははっきりと……凄まじいまでの憎悪の念が見て取れた。濃密な殺意を感じて俺の背筋に寒気が走る。

 何故シオンの口からレオンの名が? それにこの憎悪の眼差し……彼女はレオンの関係者なのか?

 困惑する俺を無視してシオンの言葉は続いた。

「その剣はね……あの子の、レオンの為にぃ……私が用意したのよぉぉ……」

 何かを堪えるかのような震える声がシオンから絞り出される。

「わかるぅぅ? その剣を手に入れる為にぃぃ……私がどれだけ苦労したかぁぁ」

 目は血走り、鬼のような形相で彼女の身体がブルブルと震えた。

「それもぉぉ……可愛いあの子の為ならぁぁ……それなのに、それなのにぃぃぃ!!」

 段々とシオンの声量が増していく。
 そして……。

「その剣はぁぁぁっ! 断じてっ! 断じてっ、オマエなんかが使って良いモノじゃないんだよぉぉっ!!」

 大絶叫。
 小柄な彼女のどこからこれ程の大声が出ているのだろうか。
 ビリビリと鼓膜を揺らす憎悪の叫びが俺達へと叩きつけられる。
 シオンのあまりの変貌に俺とギンは言葉を失っていた。

 叫び終えたシオンは一つ大きな溜息をつくと、再び俺へと視線を向ける。
 その目はゾッとする程冷たく、こちらをゴミを見るように見下していた。

「……殺すわ。でも簡単には殺さない。可愛がって、可愛がって、可愛がって、可愛がって、可愛がってぇぇ…………飽きるまで可愛がってからゴキブリみたいに殺してあげる」

 シオンが絹のように細やかな髪を掻き上げる。その仕草には見た目の幼さを裏切る異様な艶があった。

「……心配しないでね。いろいろと実験して勉強したのよ? きっと長く、長~く遊べるわ。まずは爪先から磨り潰して、泣き叫ぶあなたの顔を踏みにじってあげる。それともあなたの顔のでっぱりを全て削ぎ落として綺麗にしてあげる方が先かしら」

 ウフフと本当に嬉しそうに微笑む彼女は、驚くほど美しかった。
 狂気をまざまざと見せつけられて思わず喉が鳴る。

「な、なんだこいつ?」

 ギンが俺の心情を代弁してくれた。
 そして彼女が今語った、『実験』という言葉。
 それはもしや先程の小屋の中の惨状を言っているのか? 一体どんな思考であんな事ができるのだろうか。
 彼女の心の闇の深さに、俺は困惑と驚きを隠せない。

 と、そこで俺達を取り囲んでいたプレイヤー達が歩み寄ってきた。全員が夜の帳を思わせる漆黒のマントを身に纏い、顔もフードを深く被っていて人相が判らない。
 だが彼らは俺達に近づくと自らフードを脱いだ。
 現れた彼らの顔はふてぶてしく笑いながらこちらを見下している。その面々を見て、俺はふと既視感を覚えた。

 こいつらの顔……どこかで見たような気がする。それもごく最近に……。

 答えは傍らのギンがくれた。

「お、お前ら、『ライオンハート』の!? なんでっ!?」

 驚きのあまり声が裏返り、悲鳴のような叫びをあげるギン。
 彼の驚く様が面白かったのかゲラゲラと声をあげて笑うプレイヤー達。

 ギルド『ライオンハート』。『シルバーナイツ』や『ブラッククロス』には負けるが、十分にトップギルドの一つとして名を張れる有名ギルドだ。左胸にライオンを模した紋章を飾るのが特徴のはず。
 見覚えがあるのも当然だろう。彼らはギルド連合の一員として先日の会合にも出席していたのだ。特徴的な胸の紋章も目にしたし、彼らの何人かは会場の中で見た記憶をはっきりと思い出した。

「お前らギルド連合に参加してたじゃないかよ! 今までの攻略だって何度も! 裏切者も何人か始末してたはずだろ!?」

 泡を食ったように叫ぶギン。
 俺達を取り囲む輪の中から一人のプレイヤーが歩み出てくる。背中に大剣を背負う男。漆黒のマントの影からは重装の鎧が覗き、大きな肩幅はその男が恵まれた体躯の持ち主である事を如実に語っている。
 獅子の鬣の如く髪を逆立てた彼は混乱するギンを鼻で笑った。

「あぁ? そりゃこっちの都合良く踊ってもらう為に大人しくしてただけさ。裏切者なんてここじゃゴロゴロいる雑魚を適当に見繕ってぶっ殺して見せただけだし。こんなので信じちゃうなんてチョロイ連中だよな~」

 口元を吊り上げ、ハハッと薄く笑う男。それに同調するように周囲から嘲笑がこぼれる。
 悔しそうに男を睨むギンを抑えながら俺は問い掛けた。

「何故こんなことを?」

 そんな俺を不思議そうに眺める男。

「お? 意外と冷静だな師範代。そっちの奴は見習えよ~? 『銀騎士』メンバーのくせにそんな醜態はダセーぞ」

 こちらを挑発するように見下してくる。しかし、俺の制止によってある程度落ち着きを取り戻したギンは挑発に乗ることはないようだ。
 こちらの反応が薄い事に気づくと興が削がれたようで男は笑みを消し去った。

「せっかく楽しい世界になったっていうのにクリアされて終わったら勿体ないだろ? ここいらでトップギルドの連中には少し退場してもらおうと元々思ってたわけよ。そうしたらラッシュとゲイスが捕まったおかげで、ギルド連合組んで襲撃だなんて話が出てきたろ?」

 軽く腕を組みながら男が語り始める。冥土の土産のつもりだろうか。
 人数差もある為か、随分と余裕の様子だが時間をかけてくれるのはこちらにとって好都合。足元の氷も大分溶けてきていた。
 今のうちにと必死に打開策を模索する。

 ……しかし、先日クーパー鉱山で話していた憶測が図らずも的中したようだ。弱肉強食の仮想世界で生きる事を彼らは望むらしい。
 彼らは現実世界に未練はないのだろうか。

 ―――正直、彼らに同調してしまう気持ちはある。

 だがそれでも、彼らのような楽しみ方をしたいとは思わない。そう思っているのは俺が己の欲望に素直になっていないだけなのだろうか。

「これは使えると思ってな。班編成やら突入後の動きやらちょっと口出しして上手い事孤立しやすいパーティが出るように弄ってやったのよ。後はさっきみたいに囲んでボコッて終わり。ついでにここも最近雑魚が増え過ぎて鬱陶しくなってきてたから間引きしたってわけだ」

 シオンの隣まで歩いて行った男が途中で倒れているハヤトとタクヤの頭を無造作に蹴り上げる。くぐもった呻きをあげて転がる二人。まだ毒からの回復には程遠いようだ。
 思わず弓を構えようとするギンを再度抑える。それを見てニヤニヤと嬉しそうに笑う男。
 彼は能面のような表情を張り付けたシオンの傍らで俺へと振り返った。

「ま、このパーティに関してはそこの師範代のとばっちりだけどな。シオンが師範代を絶対ぶっ殺すってキレてるからよ~。俺は女がいるパーティ狙いたかったんだが、シオンがどうしてもって言うからよ~。……とりあえず師範代、テメーは楽に死ねないと思うから覚悟しろ、な?」

 聞く限り八つ当たりにも似たイラつきを乗せて男が俺へと凄む。シオンは相変わらず凍る様な視線をこちらへ投げかけていた。

 しかし、まずい。彼の言う事が本当ならば今も他のパーティがこうして罠にかけられている可能性がある。
 こいつらは仮にも有名ギルドとして名を馳せられる連中だけあって実力のあるプレイヤー達だ。他のパーティもハヤト達のように無力化され、未だに情報が出回っていない可能性も否定できない。
 何とか情報を後方へと持ち帰らなくては……。

 いかに『迅剣テュルウィンド』の効果で敏捷度が底上げされているとはいえ、元々の戦闘スタイルから見て敏捷度に自信のない俺では恐らく逃げきれない。だが弓術士であるギンならば、ステータス的にもスキル的にも退避の成功が期待できる。
 ここはどうにかしてギンを離脱させなければならない。
 周囲の『ライオンハート』メンバー達に聞かれないように顔を動かさずそっとギンへ囁いた。

「……あいつらの一番の狙いは俺みたいだ。俺があいつらを引き付けるからギンは何とか囲いを脱出して後方に報告と救援要請をしてきてくれ。俺が粘っている限りあいつらも倒れてるハヤト達へ手は出さないだろう」

 ……だがそれも俺が侮られている間だけであって、俺との戦闘にあまりに時間がかかり過ぎればハヤト達が人質として使われる可能性もある。
 こればかりはギンの頑張りに期待するしかない。

 俺の申し出に一瞬顔を強張らせるギン。

「お、おい! 大丈夫なのか?」

「……ああ、問題ない。何とか時間を稼ぐさ」

 そう答えると俺は、ギンの返事を待たず数歩踏み出しながら声を張り上げた。

「覚悟と言うが、お前らもやられる覚悟はあるんだろうな!? これでもレオン達を俺一人で撃退してるぞ」

 レオンの件のところでシオンからギリッと歯を噛み締める音が聞こえたが、男は面白そうに口元を吊り上げる。
 その視線は真っ直ぐに俺の眼を見ていた。

「へぇ、レオン達を一人で殺ったってのは正直信じられんが、ただの初心者剣術使いってわけでもなさそうだな。……おい、その眼はなんだ? 新手のスキルか? 奥義か? それともアビリティか?」

 俺の眼には先程の戦闘行為で【竜眼】が発現しているのだろう。周りの視線が集まるのを感じる。

「言うわけがないだろう」

「ハッ、そりゃそうだ」

 俺と男の短い応酬。お互いに視線を外さず言葉を重ねた。

 ……レオン達を倒した事が知られている上に【竜眼】を見られている。いくら俺が初心者剣術の使い手だとしても、そう簡単には油断してくれないらしい。
 クドーの視線にははっきりと警戒の念が浮かんでいた。

 睨み合いに我慢ができなくなったのか、無表情を貫いていたシオンがついに口を開く。

「……クドー」

「おっと! へいへい、判ってますよ。姫がご立腹だ。そろそろ痛い目に遭ってもらおうか。……おい、お前ら! こいつの眼には気を付けろよ。どんな能力を持ってるかも判らんからな」

 周囲の仲間へと注意喚起を行いながら、クドーと呼ばれた男性プレイヤーは背中の大剣を抜いた。
 長大な両刃の剣だが、特徴的な刃に目が引かれる。まるでノコギリのように無数に連なる細かい刃。あれで切り裂かれるのはあまり想像したくない。
 事前に飲んだブースト系アイテム『イモータル』のおかげで今は痛覚が麻痺しているはずだが、あれで切り裂かれると思わず痛みを感じてしまいそうだ。

「さあ、お前もこの『咬剣スフィルブラッド』の刃、存分に味わってくれよ?」

 軽薄な笑みを張り付けてクドーが大剣―――『咬剣スフィルブラッド』を手に迫る。彼に連動するように周囲のプレイヤー達も動き始めた。
 クドーと並ぶように一人、そして俺を挟撃するように左右から二人。皆接近戦を挑んでくるようなので前衛の武術系流派プレイヤーだろう。
 残りは後衛プレイヤーらしく、ギンを数人で牽制しながら遠巻きにこちらを窺っている。先に俺を始末してからギンを片付ける腹づもり……というわけか。

 俺も迎撃の為に『迅剣テュルウィンド』を構えた。
 正眼に似た構え。
 剣先をクドーの喉元へ向けながら、余計な思考を吐き出すように一つ大きな吐息を吐く。自然と思考が研ぎ澄まされ、雑音が遠のいた。
 戦闘状態を感知して【思考加速】と【見切り】が再び発動。
 極度に周囲の動きが遅くなる。まるで粘度の高い液体の中を泳ぐようだ。奥義【心眼】を介した視界では、俺の周囲で赤い攻撃予測軌道が鮮やかに輝いている。


 有名ギルドパーティー相手に挑むのは俺一人。傍目に見れば無謀な挑戦。多少なりとも相手にはこちらを侮る気配はあるが、レオンの時よりも確実にこちらを警戒している。
 俺を待つのは無残に嬲られ殺される未来か。
 ……いや、俺にはこんな所で死ぬつもりなど微塵もない。ヴァリトールを、レッドホーンを思い出せ。奴らの背筋が凍るような殺気に比べればこいつらの気配のなんてか弱い事か。

 ―――防ぐ。こいつらの攻撃、そのことごとくを防いでやろう。


 そう決意するとともに周囲の雑音は全て消えた。聞こえるのは己と敵の息遣い。そして刃の風切り音。
 眼を見開く。俺へと襲い掛かる脅威の全てを把握する。

 初撃は……正面、クドーの大剣による左上段からの袈裟斬り。振りかぶられた『咬剣スフィルブラッド』の刃はギラリと鈍い輝きを放ち、まるで血に飢えた獣の牙を思わせた。

 クドーの動きに合わせるように剣先を跳ね上げる。俺の意思を感知したシステムが『真バルド流剣術』の動きに沿ってアシストを開始。
 眼前には俺の身体を引き裂くべく猛烈な勢いで迫る刃。俺は一歩も動かず、ただ鋭く手首を返して己の長剣を振るった。
 小さく弧を描き、『迅剣テュルウィンド』の美しい剣身が『咬剣スフィルブラッド』の側面へと激突。甲高い金属音と共に大剣が弾かれる。
 予定外の力が加えられた大剣は、俺という目標を大きく逸れて地面へとめり込んだ。これ程強く弾かれるとは予想外だったのか、驚きに目を見開いたクドーが僅かにたたらを踏む。

 絶好の隙。

 だが、さすがは攻略組にも名を連ねる有名ギルドのメンバー達。クドーの隙を補うように、すかさず他のメンバーが攻撃を仕掛けてきた。このままクドーを斬ろうとすれば俺も深手を負うだろう。
 クドーへの追撃は即座に断念し、防御へと意識を切り替える。
 俺の死角となる左右やや後方からそれぞれほぼ同時に突き出される二本の槍。
 【心眼】を使いしっかりその攻撃タイミングを確認していた俺は、その場で小さく円を描くように時計回りで回転。遠心力で鎧の上に纏ったマントがフワリと翻る。
 俺の回転に沿って下段から閃く『迅剣テュルウィンド』が、一本目の槍を捉え強く跳ね上げた。逆側から襲い掛かる二本目の槍は身体の回転と鎧の装甲を利用して穂先を受け流す。
 そして俺の長剣の描く軌跡は止まらない。俺の脇を通る槍の柄へ、そのまま流れるように長剣を叩き付け大きく弾き飛ばした。

「なっ!?」「マジかよ!?」

 死角からの奇襲を防がれ、驚きの声をあげる敵プレイヤー達。
 しかし、俺にそれをじっくり聞いている暇はなかった。
 体勢を立て直したクドーと横に並ぶもう一人のプレイヤーが攻撃を仕掛けてきたからだ。
 右方、歯を食いしばったクドーから放たれるのは先程の袈裟斬りを切り返した右下段からの逆袈裟。左方からは斧術士らしいプレイヤーの巨大な戦斧が唸りをあげて横薙ぎに振るわれている。
 俺を挟み込むようなそれぞれの重量級斬撃を冷静に分析。同時攻撃に見えて、武器の重量のせいか僅かにクドーの大剣の方が到達が早い。
 俺を狙う周囲の敵プレイヤーは多数。他プレイヤーからの追撃に備える為にも可能な限り迎撃後の隙を小さくする必要がある。
 最小の動きで斬撃を弾くべく、俺の手元が機敏に動き剣先が再び弧を描いて銀閃が奔る。
 下段から跳ね上がった剣身はクドーの大剣を真下から弾き上げ、俺の手首を中心にそのまま半回転。直後に猛烈な勢いで戦斧の一撃を真上から叩き落とした。

「なんだとっ!?」

 またしても攻撃を防がれた事にイラつきを募らせたのか、盛大に顔をしかめるクドー。
 と、そこへ飛来する数本の矢。
 俺を牽制する為に放たれたのだろう。
 矢を切り払う為に俺の足は止まり、その間にクドー達は体勢を立て直す。

 さて、どうするか。

 今の一戦の感触から見て、防御に徹すれば俺の集中力が続く限り防ぎ続けるのは難しくない。だが、ギンはどうか……。
 【心眼】で見てみると今も敵方の弓術士と魔術士に牽制され、反撃もできずに逃げ回っている。まだ倒されていないのは僥倖だが、それも相手が遊んでいるからだろう。
 できる限り早くギンを離脱させたいところだが、敵方の弓術士と魔術士が邪魔だ。俺には遠距離攻撃がないので、これだけの間合いから後衛プレイヤー達を仕留める自信がない。

 このままでは俺はともかく向こうがもたない。
 ジリ貧か……だが、戦いの中で俺は一つ光明を見出していた。もしかしたら上手く今の状況を打破できるかもしれない。
 それにはもう少し粘ってチャンスを待つ必要がある。それまでギンも頑張ってくれると良いのだが……。
 再び攻撃を再開したクドー達へと意識を戻しながら俺は『迅剣テュルウィンド』の柄を強く握りこんだ。
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