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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・

アメリカでオスプレイ反対運動?その2

 現在発売中の『Themis』今月号で、コメントを採用していただきました。シリア問題です。
 また、本日TBS「朝ズバ」で、文字コメントを提供しました(採用されたかどうかは未確認)。こちらは日米外交防衛閣僚会合に関してです。

 その「朝ズバ」ですが、同番組で私が以前、「アメリカでオスプレイ反対運動は存在しない」と明言したことに関し、ちょっと前ですが、ツイッターにて「アメリカの活動家が、沖縄訪問時にオスプレイ反対を訴えた」とのご指摘を受けました。
 その根拠となったのが、以下のニュースです。
▽検証 動かぬ基地 vol.127 オスプレイ訓練延期させた米国女性(琉球朝日放送 2013年3月21日)
 ここに登場するのは、The Peaceful Skies Coalition(平和的な空たち連合)」の代表のキャロル・ミラーさんという方です。The Peaceful Skies Coalitionは公式HPによると、ニューメキシコ州・コロラド州での米空軍特殊作戦部隊のオスプレイとC-130輸送機による低空飛行訓練をやめさせるために設立された組織となっています。
 番組を拝見すると、ミラーさんは以下のように語っています。
「政治レベルでは彼らはオスプレイをここに配備するだろう」
「もしそれを私たちが止めることができたら、帝国の拡大を止めることを助けるだろう」
「騒音さえも、自由のための音だと言うのです」
 以上から、アメリカの活動家がオスプレイ反対を表明している、と同局は報道しています。

 ところが、ミラーさんが主導するThe Peaceful Skies Coalitionの上記のHPをみても、「オスプレイに反対」とは書かれていません。あくまで低空飛行訓練に反対しているだけです。反対の理由も、騒音や風圧による環境への悪影響ですね。オスプレイ限定でもありませんし、ましてや「オスプレイ特有の危険性」にはまったく言及されていません。
 考えられることは以下のようなことです。
▽ミラーさん個人だけが「オスプレイそのものに反対」
 どこにもいろいろな方がいますので、可能性がないわけではないです。
 ただ、同組織のSNSにこの人が書き込んでいるものなどを拝見すると、もともと反戦運動系の方で、すべての米軍の活動、すべての兵器に反対というような意識の方であることが推測されます。
 ですが、仮にそうであっても、あくまでこの方おひとりの見解であり、彼女が主導する同組織の考えではありません。アメリカにオスプレイ反対運動があるわけではないのです。
▽同局の情報操作
 地元住民や地元の環境へ配慮に欠けた米軍に対する抗議ということで、ミラーさんが沖縄で語ったことを、同局が「オスプレイ反対で連携した」と誤解し、そのように編集で恣意的に操作した可能性があります。
 たとえば、上記の3つのコメントも、それぞれ別個にトリミングされたコメントであり、文脈的に繋がっているのかどうかは、これだけではわかりません。
 まあ、最初の2つは流れとしては繋がっている可能性が高いとは思いますが、おそらくミラーさんが「地元の環境へ配慮しない米軍の横暴を止めたい」という意味で言っているものを、1本目でむりやり「オスプレイ」を強く印象付けようとしたものではないかなと推測しています。
 また、最後の「騒音さえも、自由のための音だと言うのです」のコメントも、キャプションでは「オスプレイの騒音さえも~」とされていますが、この映像では「オスプレイの~」とは言っていません。
 通常、もしも「オスプレイだから反対」、ましてや「オスプレイは危険だから反対」というのであれば、きっちり単独インタビューも撮っているわけですので、そうした明確なコメントを当然採用するはずなので、それがないということは、同局が期待するそうしたコメントがなかったということかと思います。

 要するに、アメリカには地元住民による「低空飛行訓練反対」運動はありますが、「オスプレイ反対」運動は存在しません。それを日本では沖縄の一部メディアが誤解して報じているということかと思います。
  1. 2013/10/04(金) 12:07:47|
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  4. | コメント:5
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コメント

黒井先生の本質を突いているがややアバウトな物の言い方を反対意見を持つ人が故意の嘘とか強弁と言う風に取るのだろうと思います。

重要なのは安全輸送に気を付ける米国大統領が今後オスプレーを利用する事と「使える武器」にしか興味を示さないイスラエル軍首脳が関心を持っている事で充分だと思います。


ま、黒井先生=似非軍事ジャーナリスト=英米諜報機関の手先=戦争屋ロックファラーの陰謀とかの思考回路で演繹的に批判されたら合理性を持った純軍事技術的説明は全く意味を持ちませんが(笑)。厄介、厄介。
  1. URL |
  2. 2013/10/04(金) 15:31:50 |
  3. 道楽(どら)Q #-
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黒井先生、『あのひと検索スパイシー』上の先生の写真が黒人の顔になっています。
http://spysee.jp/%E9%BB%92%E4%BA%95%E6%96%87%E5%A4%AA%E9%83%8E/1041543

警察に被害届を出して下さい。mahoroba23の個人情報は西村雅史に聞けば直ぐに分かる筈です。今度こそ逮捕です。ハイ。
  1. URL |
  2. 2013/10/05(土) 04:08:08 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

ここまで来たら書いちゃいますが、九十年代に『マハーポーシャ同窓会』で(上祐と同じ)外報部長としてオウム真理教ハンターとして河上イチローと討論したフミフミは当時関係者に評価されていたが、現在「ミイラ取りがミイラになった」。つまり、オウム=アレフ信者を上回る陰謀論者になった。

しかも、手口が陰険で複数のネームやツイッターやブログ使用でゲリラ的である。分からないのは(倉山満の様な)頭脳明晰だが空回りする三十代後半位の青年か、固まった生涯一陰謀論者のいずれか。「萌えてる」という言葉から後者は想像し難いがアキハバラでは何でもありだ。


フミフミは別ブログ『まほろばいろは』の二〇一一年六月十日付け記事でこう書いている。

「(引用開始)B層と呼ばれる民達は、マスゴミや権力者・経団連を始とする金の亡者たちの一方的な情報を鵜呑みにして、思考停止している。B層と呼ばれる民達は、マスゴミや権力者・経団連を始とする金の亡者たちの一方的な情報を鵜呑みにして、思考停止している(引用終り)」。
http://mahoroba13.blog.fc2.com/blog-entry-151.html


さらに今年九月二十一日付け記事で、「(引用開始)シリア問題は、まったく不正義だ。問題といっても、欧米金融支配層を仕組んだ、詐欺紛争なのだが(引用終り)」と欧米金融支配層の所為にするが、「戦争屋」の英米軍産複合体の所為じゃないの(笑)。
http://mahoroba13.blog.fc2.com/blog-entry-204.html


決定的なのは今年九月二十一日付け記事で、「(引用開始)地球人のなりすまし、偽ユダヤ人たちの世界統一計画と地球の自由を守ろうとする人々の対決の最前線にシリアの人々は立たされている。

遠い国の縁もゆかりもない話ではなく、もっとも日本人が関係する事件である。それは、古代イスラエル人の末裔が日本人だからだ(引用終り)」。
http://mahoroba13.blog.fc2.com/blog-entry-203.html

元オウムハンターのフミフミは現在日ユ同祖論を信じる愉快犯のオッサンに「成長」しました(笑)。何だ北朝鮮の工作員じゃなかったのか(楽笑)。やっぱ、五十男。
  1. URL |
  2. 2013/10/05(土) 21:42:00 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

ついでに書いちゃうが、フミフミさん、貴方も子供じゃ無いので説教する気は無いけど、陰謀論を信じるのはオタク趣味の範疇としても、匿名や複数ネームで真面目に活動している個人の中傷は良くない。今回はたまたま黒井先生(の元奥様)で出来ればきちんと謝罪して欲しいけど、少なくともその点だけでも改めてよ。

後、フミフミさんは情報に溺れている。もう少し歴史研究でもしたら良い。某情報大国が分析官を育てている場所を知っているが、まず千倍の競争率。二十名から二十五名の候補者は九年契約にサインする。

最初の三年は研修期間で要は学位を取る。語学と歴史とインテリジェンス学が必修でその他は選択。教員は一部が軍人で一部が一般の学者。残り六年が勤務の拘束。後は任意。年に二十人として十年で二百人が巣立つ。陰謀論や空想の入り込む隙無し。


それからシリアとイスラエルの関係だけど、二〇〇六年の第二次レバノン戦争後にシリアのアサド政権はイスラエルとの平和条約締結を望んだ。当時シリアとイスラエルを仲介したのがトルコのエルドアン首相。

同時期ツィッピー・リブニー外相の下で強化されたイスラエル外務省情報部と参謀本部諜報局は「バシャール・アサドは第二のサダト」とか「アサドは本気」とかオルメルト首相に進言。イスラエルの方も乗り気だったが反対したのが当時モサッド長官のメイール・ダガン。彼は疑い深い上に米国の意向もあった。

オルメルトはアサドに秋風を送りながら二〇〇七年にシリアの原子炉を爆撃。イスラエルとシリア両者共に暫くは黙っていたが科学者を大量に殺された北朝鮮が最初にキレて明らかになった。しかも、この時に自国領空を侵犯されたトルコも怒るがオルメルトは涼しい顔。

その後もイスラエルとシリアの秘密交渉は続くが二〇〇八年末のガザ戦争でシリアとしては交渉継続不可能となった。つまり、オルメルトはアサドに気を持たせながらもゴラン高原を返す奇は最初から無かったという事。


アサドはフリーメーソン=イルミナティーと闘う英雄?ミントティーの間違えじゃ無いじゃないの(笑)。
  1. URL |
  2. 2013/10/05(土) 23:04:36 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

「秋風を送りながら」は「秋波を送りながら」の間違いでした。
  1. URL |
  2. 2013/10/06(日) 01:17:17 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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