【社説】日本の良識ある人たちは今こそ力を発揮すべき

 日本の大手全国紙の一つが3日付の社説で、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が米国のヘーゲル国防長官に「歴史と領土問題で逆行する発言をする(日本の)指導者たちのせいで、(韓日間に)信頼を築くことができない」と発言したことを激しく非難した。この新聞は朴大統領について「(韓日関係悪化の)責任が日本にあるという発言はあまりにも一方的過ぎる。米国の政府高官に伝えた言葉もお門違いだ」と主張した。また従軍慰安婦問題について朴大統領が「日本は謝罪どころか侮辱している」という趣旨の発言を行ったことについても「完全な誤解」とした上で「朴大統領は反日ナショナリズムをあおっている」とする見方も示した。

 良識を持って過去を直視し、隣国と共に未来を築こうとする日本国民であれば、これらの主張が虚構と錯覚に満ちていることをしっかりと理解しているはずだ。われわれが言いたいことは、日本の道端にいる極端な少数右翼ではなく、1000万人近い読者を持つ大手紙が、平気でこのような主張をするという現実に対して心から憂慮せざるを得ないということだ。

 20-30年前まで日本では過去の過ちを直視し、その歴史認識の上で新たな未来を切り開こうとする良識ある人たちが大きな勢力を形成していた。このような勢力や社会的背景があったからこそ、日本の侵略と植民地支配について謝罪した当時の村山首相、日本軍による従軍慰安婦の強制動員を認め謝罪した河野官房長官とその決定を下した宮沢首相のような政治家が出現できたのだ。日本には「日本が独島(日本名:竹島)の領有権を主張する根拠は希薄」と主張する人たちもいた。そのような彼らが全く無知で粗暴な過激集団によるテロの脅威に対抗できたのも、良識ある人たちが積み上げてきた目に見えない堤防があったからだ。

 ところがその堤防も今では過去に対する美化と回帰という泥水に押し流され崩壊してしまった。安倍首相のように「正義の概念はそれぞれの社会や国によって異なる」などと全く顔色も変えずに言ってのける政治家が、日本を牛耳る状況になってしまったのだ。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース