南方の巨大魚や漂着死が消え、スケトウダラやメバルが戻った…
「原発停止」で復活した日本の海
(週刊朝日 2013年9月27日号配信掲載) 2013年9月18日(水)配信
一方で、寄田海岸は釣り人が多く集まる場所で知られていたという。
「南方系の魚がたくさん釣れたのです。ロウニンアジやギンガメアジ、サメ、エイなど強烈な引きのある南方系の魚が釣れるといって人気のスポットでした。それが原発が停止してからは南方系の魚が釣れなくなったそうで、釣り人は来なくなりました」
川内原発の3号機増設をめぐり、温排水が環境に大きな影響を与えるとして、2010年10月、市民団体が環境アセスメントのやり直しなどを求めて鹿児島地裁に提訴したことがある。その原告団の一人、向原祥隆(むこはら・よしたか)さんは言う。
「温排水は、海水の温度上昇につながるだけではない。パイプなどの機器に生物が付着するのを防ぐため次亜塩素酸ソーダという化学物質を使い、それも海へ放出しています。川内原発の稼働が止まってから、海岸に打ち上げられる死骸はほとんどなくなった。大量の死骸は、温排水や化学物質が影響していたのではないでしょうか」
九州電力が地元と締結している安全協定で、取水口と放水口の海水の温度差は1日平均7度以下にするとしている。裁判で九州電力が出した資料を見ると、水温は安全協定の範囲内だ。しかし、向原さんは言う。
「九州電力は排水口から2キロまでが温排水の影響があるとしている。しかし、資料を細かく見てゆくと、5キロ近くまで水温が2度ほど上昇している。九州電力の資料には疑念がある」
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